ホワイト・イングリッシュ・テリア

ホワイト・イングリッシュ・テリアについて

ホワイト・イングリッシュ・テリアは、かつてイギリスで飼育されていた犬種で、主に闘犬やネズミ狩り、ショードッグとしての役割を果たしていました。性格は臆病さからくる攻撃心を持ち、勇敢な面もありましたが、その純白の毛色が人気を集めました。この犬種はオールド・ホワイト・イングリッシュ・テリアとも呼ばれ、15世紀から16世紀にかけて、ブラック・アンド・タン・テリアの白変種を基に誕生しました。

歴史の経緯

初期にはネズミ狩りや闘犬として利用されていましたが、その後、ショードッグとしての需要が高まるにつれ、運命が変わりました。第一にこの犬種は視覚的にも美しいとされ、重要なドッグショーに毎年のように参加するまでに人気が高まりました。しかし、需要の増加が原因で乱繁殖が行われ、犬質が劣化してしまいました。この過程で、青い目を持った犬や耳の聞こえない犬が多く誕生しました。この質の低下が人気に影を落とし、1927年にその存在は消えてしまいました。

現在、ホワイト・イングリッシュ・テリアの血を引く犬がイギリスに存在している他、ブルテリアの作出にも寄与したとされています。チェシャ・テリアと掛け合わされて、新たな犬種に血が受け継がれました。

トイ・ホワイト・イングリッシュ・テリア

ホワイト・イングリッシュ・テリアの小型版であるトイ・ホワイト・イングリッシュ・テリアも存在しました。この犬種は、小型化されることでより優れたネズミ狩りの能力を持ち、見た目の弱々しさからギャンブルなどでの使用が可能でした。しかし、こちらも後に健全な繁殖が困難となり、病気にかかりやすい特徴があったため、早期に絶滅の道を辿りました。体重は1.5～2kgと非常に小型でした。

特徴

ホワイト・イングリッシュ・テリアの外見的特徴としては、円らな大きな瞳と黒い鼻、純白のワイヤーコートが挙げられます。毛の長さのため、こまめなトリミングが必要でした。体は筋肉質で、脚もスラリと長いのが特徴的です。また、性格は用心深く、内向的でおとなしい側面があります。体高は25cmから38cmほどで、トイ種はフルサイズのものよりもマズルが若干短く、足が細い傾向にあります。

遺伝的な疾患としては、難聴が知られていますが、青い目を持たない犬でも耳の機能に問題があったことが報告されています。ただし、純血種として絶滅しているため、現実にどの程度の頻度で難聴が発生したのかは不明です。

参考文献

デズモンド・モリスの著書『デズモンド・モリスの犬種事典』にはこの犬種についての詳細が記載されています。また、関連する犬種としてウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアやピトンウィーム・テリアが挙げられます。

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