ホワッツ・ニュー (ソニー・スティットのアルバム)

アルバム『ホワッツ・ニュー』概要

『ホワッツ・ニュー』(What's New!!!)は、著名なサクソフォーン奏者ソニー・スティットが1966年に録音し、ルーレット・レコードからリリースされたジャズ・アルバムです。本作は『ソニー・スティットがバリトーンを演奏する（Sonny Stitt Plays the Varitone）』というサブタイトルが冠されており、このアルバムの最も特筆すべき点を示唆しています。

革新的な電子楽器「バリトーン」

このアルバムの核となるのは、ソニー・スティットが導入した電子楽器「バリトーン」です。バリトーンとは、サクソフォーンの音色を電気的に変化させるアンプリファイア・システムのことで、当時としては比較的新しい技術でした。スティットは、彼の音楽キャリアにおいて、この『ホワッツ・ニュー』で初めてレコーディングにバリトーンを本格的に導入しました。この試みは、伝統的な楽器であるサクソフォーンに電子的なエフェクトを組み合わせるという、当時のジャズ界においてはまだ実験的な試みであり、彼のサウンドに対する探求心を示すものと言えます。サブタイトルに機器名を明記することで、この革新性をリスナーに強くアピールする意図があったと考えられます。

豪華な参加ミュージシャンたち

本作の録音には、ソニー・スティット自身がアルト、テナー、そしてバリトーン・サクソフォーンを演奏しているほか、ジャズ界のベテランから若手まで、非常に多彩で豪華なミュージシャンが参加しています。そのパーソネルは以下の通りです。

ソニー・スティット - アルト・サクソフォーン、テナー・サクソフォーン、バリトーン
ジョー・ワイルダー、エディ・プレストン - トランペット
J・J・ジョンソン - トロンボーン
イリノイ・ジャケー - テナー・サクソフォーン
ジョージ・バーグ - バリトン・サクソフォーン
ビリー・テイラー、エリス・ラーキンス - ピアノ
ワイルド・ビル・デイヴィス、アーニー・ヘイズ - オルガン
マイク・マイニエリ - ヴィブラフォン
レス・スパン - ギター
ジャン・アーネット、ジョージ・デュヴィヴィエ - ベース
* ウォルター・パーキンス - ドラムス

トロンボーンの巨匠J・J・ジョンソン、テナー・サックスのイリノイ・ジャケー、ベテラン・ピアニストのビリー・テイラーやエリス・ラーキンス、オルガンのワイルド・ビル・デイヴィス、ベースのジョージ・デュヴィヴィエなど、錚々たる面々が名を連ねており、分厚く豊かなアンサンブルを形成しています。複数のピアノ/オルガン奏者や2人のベーシストが参加している点も特徴的で、バリトーンを使ったスティットの実験的なサウンドを、堅実かつ重厚な演奏が支えています。

商業的成功と批評

『ホワッツ・ニュー』は、単なる実験作に終わらず、商業的な成功も収めました。1967年4月には、アメリカの主要な総合アルバム・チャートであるBillboard 200で最高172位を記録しました。特にジャズ・アルバムに特化したチャートにおいては、より高い16位まで上昇するヒットとなり、当時のリスナーからの一定の支持を得たことが伺えます。批評面では、著名な音楽データベースであるAllMusicが3つ星の評価を与えています。

収録構成

オリジナルLP盤には、合計12曲が収録されていました。A面に6曲、B面に6曲という構成で、多様な楽曲が収められています。（注：具体的な曲名リストは資料に含まれていません。）

まとめ

ソニー・スティットのアルバム『ホワッツ・ニュー』は、バリトーンという新しい電子楽器をレコーディングに大胆に導入した、彼のキャリアにおける意欲作として位置づけられます。豪華な共演者による質の高い演奏に支えられつつ、革新的なサウンドへの探求心を示した本作は、商業的な成功も収め、スティットの多才さと、ジャズの歴史における電子楽器導入の一側面を物語る興味深い作品と言えるでしょう。

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