ホンダ・ノーティダックス

ホンダ・ノーティダックス：ダックスを受け継ぐレジャーバイク

ホンダ・ノーティダックスは、1973年に本田技研工業から発売された原動機付自転車です。ダックスシリーズの流れを汲むモデルとして開発され、その気軽さと走破性の高さから多くのライダーに愛されました。

ダックスの系譜と新たな挑戦

ノーティダックスは、人気モデルだったダックスのコンセプトを継承しつつ、更なる進化を遂げたモデルと言えるでしょう。気軽な移動手段としての機能性に加え、不整地での走行性能や安定性を向上させることで、より幅広いレジャーシーンに対応できるよう設計されました。発表は1973年7月16日、発売は翌17日と、当時としては迅速な市場投入がなされました。

車両の詳細

型式名はCY50。兄弟車であるR&Pと共通の形式名を持ちますが、細部の設計には違いが見られます。フレームは、強度と軽量化を両立した鋼管ダイヤモンド型を採用。エンジンは、空冷4ストロークSOHC単気筒。特徴的なのは、シリンダーが垂直方向から12度前傾している点で、これは「縦系」と呼ばれていました。排気量は50cc、内径×行程は42.0mm×35.6mmです。トランスミッションは4速マニュアル。

タイヤには、前後ともブリヂストン製の10インチレクタングルタイヤ（幅4.5インチ）を装備。アップマフラーが独特のスタイルを際立たせていました。サスペンションは、フロントがテレスコピック式、リアがスイングアーム式で、路面からの衝撃を効果的に吸収しました。

モデルライフとマイナーチェンジ

発売当初の価格は98,000円。月間販売目標台数は4,000台でした。その後、1976年9月にはマイナーチェンジが行われました。この改良では、低中速でのトルク向上を目指したバルブタイミングの変更や、騒音規制への適合、そして燃費向上のためのエンジン内部構造の変更などが実施されました。

具体的には、ドリブンスプロケットの歯数変更（44T→42T）、エアクリーナーとマフラーの改良による騒音低減、イグニッションスイッチの位置変更（燃料タンク左下からハンドル中央へ）、リアキャリアの標準装備化、ブレーキライニング摩耗表示の追加、透過光式スピードメーターへの変更、そして外装デザインの変更などが行われています。価格も118,000円に上昇し、年間販売目標は2,000台へと変更されました。

生産終了とその後

1980年にノーティダックスの生産は終了しました。しかし、その独特のスタイルと高い走行性能は、多くのライダーの記憶に刻まれています。ダックスシリーズの流れを汲みつつも、独自の進化を遂げたノーティダックスは、ホンダの原動機付自転車史において重要な位置を占めるモデルと言えるでしょう。

ノーティダックスと関連モデル

ノーティダックスは、ダックスシリーズの系譜に連なるモデルであり、姉妹車であるR&Pとの類似点も多いです。また、幅広タイヤとアップマフラーを装着したデザインは、スズキ・バンバンなどの同系統のレジャーバイクにも共通する特徴となっています。これらのモデルを比較することで、当時のレジャーバイクのトレンドや設計思想を読み解くことができます。

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