ホンダ・フェイズ

ホンダ フェイズ：スポーティさと経済性を両立した250ccスクーター

ホンダが2009年に発売したフェイズは、248ccの4ストローク単気筒エンジンを搭載したスクータータイプのオートバイです。その車名は、英語で「心を騒がす」「驚かす」という意味を持つ「FAZE」に由来しています。

フォルツァとの差別化

同時期に販売されていたホンダのフォルツァと比較すると、フェイズは装備の簡素化と軽量化によって価格を抑え、明確な差別化を図っていました。フォルツァに搭載されていたHonda SマチックEvo（マニュアルモード付き）、スマートカードキーシステム、ハザードランプスイッチ、パーキングブレーキなどはフェイズには装備されておらず、オーディオパッケージも設定がありませんでした。シート下のラゲージボックスも小型化され、ヘッドランプとテールランプは1灯式でした。これらの簡略化により、ABS搭載モデルでも車両価格は63万円と抑えられました。

軽量化と走行性能

装備の簡素化による軽量化は、フェイズの走行性能に大きく貢献しました。車両重量はABS装着車でも183kgと、当時の国内250ccスクーターの中でも最軽量クラスを誇り、軽快な走りを実現していました。 軽量化だけでなく、ハンドリング性能の向上にも注力されており、キャスター角を立て、ホイールベースを5mm短縮することで旋回性能を高めています。前後サスペンションは高荷重にも耐えられるセッティングとなっており、フレーム剛性も強化することで、高速走行時における安定性も向上しています。

エンジン性能

エンジンはフォルツァと同型式ながら、ACGのフリクション低減やマフラー形状の変更などの改良が施され、最高出力はフォルツァの22psに対し23ps、最大トルクは2.2kgf・mに対し2.3kgf・mと、スペックの上でもフォルツァを上回っていました。また、排出ガス規制への対応においても、フォルツァの二次空気供給装置と酸化触媒による方法とは異なり、より高度な空燃比フィードバック制御機構とモノリス型三元触媒を組み合わせることで、環境性能も向上させています。

TYPE-S

2009年11月には、Honda SマチックEvo（マニュアルシフト機構はなし）とハザードランプスイッチを搭載したTYPE-Sが追加されました。これは、より快適な走行を求めるユーザー層への対応といえるでしょう。

まとめ

フェイズは、フォルツァの廉価版という位置付けで語られることもありますが、軽量化、高剛性フレーム、スポーティなエンジンチューニングなど、走行性能に重点を置いた設計がなされています。装備を簡素化することでコストを抑えつつも、実用的でスポーティーな走りを求めるユーザーにとって魅力的な一台でした。2015年には全モデルの生産が終了しましたが、その高い走行性能は今でも多くのライダーに記憶されています。

もう一度検索