ホンダ・ブロス

ホンダ・ブロス：気軽さと力強さを両立したVツインネイキッド

ホンダが1988年に発売したブロスは、V型2気筒エンジンを搭載したネイキッドタイプのオートバイです。レーサーレプリカ全盛期において、「扱いやすく、それでいて最新技術も取り入れたバイク」という、ユーザーニーズに応える革新的なモデルでした。

モデルバリエーションと進化

ブロスは、排気量650ccの「プロダクト1」(NT650、車体形式：RC31)と400ccの「プロダクト2」(NT400、車体形式：NC25)の2モデルで登場しました。 それぞれJ型、K型、K II型、L型、L II型と、複数のバージョンが生産されました。北米ではNT650 HAWK GTとして、欧州ではシャフトドライブ仕様のNTV650 Revereとして販売されるなど、グローバルな展開も図られました。

初期モデルから、アルミ素材を多用した軽量かつ精悍な車体が特徴です。特に、リヤホイールはRVFを思わせるセンターロック方式、片持ち式アルミ鋳造リアスイングアーム（プロアーム）は、ブロスを象徴するデザイン要素でした。

1990年には、カラーリングの変更に加え、セミアップハンドル仕様が追加。さらにラジアルタイヤや中空3本スポークホイールが採用され、走行性能の向上も図られました。後期型では、エンジン点火系が電子制御式に変更され、エンジンオイル経路の見直しなど、さらなる改良が施されました。また、ホイールデザインやタイヤサイズも変更され、軽量化が図られています。

エンジン性能と特徴

ブロスに搭載されたV型2気筒エンジンは、ホンダ独自の位相クランク技術を採用。狭角（52度）V型水冷エンジンは、バランサーなしで振動を低減することに成功しました。SOHC3バルブ（吸気2バルブ、排気1バルブ）とツインプラグの組み合わせにより、高効率な燃焼を実現。低中速域でのトルクを重視した設計で、扱いやすさと力強さを両立させています。低中速域でのフラットなトルク特性は、街乗りからツーリングまで幅広いシーンで快適な走りを提供しました。

デザインと装備

ブロスは、その力強いエンジンとは対照的に、洗練されたデザインが特徴です。五角形の断面を持つアルミフレーム、デザイン性の高いホイール、太いリアタイヤなど、細部までこだわりが感じられます。多くの部品にアルミ素材が使用され、軽量化と高級感を両立。エキゾーストパイプもステンレス製で、見た目にもこだわった作りになっています。全モデルにサイドスタンドとセンタースタンドを標準装備していました。

各モデルの特徴

各モデル間の違いは、ハンドル形状、カラーリング、ホイールデザイン、エンジン制御、ロゴシールなど様々です。例えば、初期モデル（J型、K型、K II型）と後期モデル（L型、L II型）では、ホイールデザインやエンジン制御などが大きく異なります。K型から「elf Proarm」ロゴシールがプロアームに貼られるようになり、L型ではカラーバリエーションやハンドル形状、タンクロゴなどが変更されました。

ブロスは、その扱いやすさと力強い走りの両立、そして洗練されたデザインによって、多くのライダーを魅了した一台でした。現在でも根強い人気を誇り、中古市場でも高い人気を保っています。

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