ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア

ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア（HMSI）の概要

ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア（HMSI）は、インドにおける本田技研工業の二輪車・スクーター製造販売子会社です。ハリヤーナー州マネサールに本社を置き、インド国内の二輪車市場において重要な役割を担っています。

HMSIは、インド国内に複数の大規模生産拠点を有しています。ハリヤーナー州マネサールには第一工場があり、年間生産能力は160万台です。ラジャスタン州タプカラの第二工場は年間120万台、カルナータカ州バンガロールの第三工場は年間240万台を生産可能です。さらに、グジャラート州ヴィッタルプールには2016年に操業を開始した第四工場があり、年間120万台（拡張計画あり）の生産能力を誇ります。これらの工場を組み合わせることで、HMSIはインド国内における圧倒的な生産能力を確保しています。

HMSIの歴史と市場における成長

HMSIの歴史は、1999年に本田技研工業がインド市場における更なる事業拡大を目指して設立したことに始まります。それ以前は、インド市場においては地元企業との合弁企業であるヒーロー・ホンダを通じて製品を販売していましたが、スクーターなど、ヒーロー・ホンダでは取り扱いのない製品の販売を目的としてHMSIは設立されました。

2010年には、ヒーロー・ホンダとの合弁契約を解消し、HMSIは単独でインド市場への進出を本格化させました。その後の成長は目覚ましく、2011年には販売台数が200万台を突破、国内シェア14%（当時3位）を獲得しました。その後もスクーター販売を中心に市場シェアを拡大し、2013年には国内シェア2位に躍進しました。

2016年度には、472万5,067台の二輪車を販売し、市場占有率で2位を獲得しました。これは、合弁解消時にヒーロー社の6000店に対して自社の販売網が800店と大きく劣っていたことを考えると、著しい進歩と言えるでしょう。その後も販売網は拡大を続け、5000店を超える販売網を構築しています。

2018年には、スクーター専用工場である第四工場の生産能力拡大を発表しました。新しい生産ラインの建設により、2020年には年間総生産能力700万台を目指すと発表しており、更なる成長への意欲を示しています。しかし、2021年5月にはインド国内での新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国内4工場の操業を一時的に停止せざるを得ない状況となりました。

HMSIの主要車種

HMSIは幅広い車種を展開しており、スクーターからスポーツモデルまで、多様なニーズに対応しています。主な車種としては、アクティバシリーズ（アクティバ、アクティバ3G、アクティバi、アクティバ125など）、アビエーター、ディオといったスクーターシリーズ、そしてナビ、ドリーム・ユガ、ドリーム・ネオ、ツイスター、リーヴォ、CD110ドリームDXといった110ccクラスのスポーツモデル、さらにCBF125スタナー、シャインといった125ccクラス、ユニコーン、CBR150Rといった150ccクラス、CBR250R、CBR650F、そして大型モデルのCB1000R、CBR1000RR、ゴールドウイングまで、排気量も多岐に渡ります。

2019年モデルからは、インド国内の排気ガス規制（BS6）に対応するため、特殊な吸気バルブを採用し、シリンダー内のタンブル流を強化する技術が導入されるなど、環境規制への対応も積極的に行われています。

まとめ

HMSIは、インドにおける二輪車市場において、積極的な投資と製品開発により、高い市場シェアを獲得し、大きな成功を収めています。今後も、生産能力の拡大や新製品の投入を通じて、インド市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を維持していくものと予想されます。しかし、市場環境の変化や競合他社の動向、そして世界的な経済情勢など、様々な要因が今後のHMSIの事業展開に影響を与える可能性があります。

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