グジャラート州

グジャラート州：インド北西部の歴史と発展

グジャラート州は、インド亜大陸の北西部に位置する、歴史と文化、そして経済発展が織りなす魅力的な州です。196,024平方キロメートルの広大な土地は、1,600キロメートルに及ぶ海岸線を有し、アラビア海に突き出たカティヤワール半島が特徴的な地形を形成しています。6,000万人以上の人口を抱え、インドの中でも有数の経済規模を誇ります。

古代からの歴史

グジャラート地方は、古代インドにおいて重要な交易拠点として栄えました。インダス文明の港湾都市ロータルやドーラヴィーラなどは、西アジアとの交易を支える重要な役割を果たしました。しかし、その地理的条件から、北インドやデカン地方の諸王朝の間で領有権を巡る争いが絶えませんでした。サカ族とサータヴァーハナ朝、プラティハーラ朝とラーシュトラクータ朝など、多くの勢力がこの地を支配しようと争いを繰り広げました。

イスラム勢力の進出

10世紀以降、ガズナ朝の侵攻によりグジャラート地方はイスラム勢力の影響下に置かれるようになりました。1025年には、ソームナートのヒンドゥー寺院がガズナ朝のマフムードによって徹底的に略奪されるという歴史的事件も発生しています。13世紀にはデリー・スルターン朝がグジャラートを征服し、1407年にはムザッファル・シャー1世がグジャラート・スルターン朝を建国しました。アフマド・シャー1世の治世にはアフマダーバードが首都となり、グジャラート・スルターン朝は隆盛を極めました。しかし、1573年にはムガル帝国に併合されました。ディーウ沖海戦(1509年)などの出来事も、この地の歴史に深く刻まれています。

独立後

インド独立後も、グジャラート州は幾多の出来事を経験しました。2002年にはゴードラー列車襲撃事件をきっかけとするグジャラート動乱が発生し、社会に大きな影響を与えました。2003年には、インド人民党のハーレン・パンディア州歳入担当相が暗殺される事件も起きています。

地理と気候

グジャラート州は、北にラージャスターン州、東にマディヤ・プラデーシュ州、東南にマハーラーシュトラ州、そして西にアラビア海を臨む地理的条件にあります。北西にはパキスタン領シンド州との国境もあります。カッチ湾、カッチ湿地、カンバート湾といった地形も特徴的で、州全体としては起伏の少ない平坦な地形で、乾燥した気候が特徴です。冬は比較的温暖で、夏は暑く乾燥していますが、6月中旬からのモンスーンにより、気温が下がり湿度が増加します。モンスーンによる豪雨は、時に洪水を引き起こすこともあります。

地方行政区分

グジャラート州は、多くの県に分割されています。（例：アフマダーバード県、アムレーリー県、アーナンド県など）州都はガンディーナガル、最大の都市はアフマダーバードです。ヴァドーダラー、ジャームナガルなども重要な都市として知られています。

政治

グジャラート州の政治は、インド人民党(BJP)が強い影響力を持っています。2022年の州議会選挙では、BJPが圧倒的な議席数を獲得しました。

経済

グジャラート州は、インドの中でも有数の経済規模を誇る州です。農業、工業ともに盛んで、インド経済を支える重要な役割を担っています。

農業

綿花、タバコ、落花生、ナツメヤシ、サトウキビ、コメなど、様々な農産物が生産されています。酪農業も盛んで、乳製品の産地としても知られています。過去には蝗害による被害も経験しており、農業は自然災害の影響を受けやすい一面も持っています。

工業

グジャラート州は、インド国内で最も工業生産が盛んな州の一つです。石油化学工業、製薬工業、繊維工業、自動車工業、船舶解体など、多様な産業が発展しています。ジャームナガルにあるコンビナートは、インドの石油化学製品や医薬品の生産の中心地となっています。また、伝統的に盛んな製塩業は、インド全体の塩生産の約8割を占めています。

鉱工業

石灰石、方解石、石膏、マンガン、ボーキサイトなど、様々な鉱産資源が産出されています。特にスーラトのダイヤモンド取引は有名で、海外との宝石取引の拠点としても機能しています。

投資誘致

グジャラート州は、積極的な投資誘致政策を展開しており、「バイブラント・グジャラート」という国際投資サミットを定期的に開催しています。

住民

グジャラート州には、多様な民族、言語、宗教の人々が暮らしています。グジャラート語が主要言語ですが、他にも多くの言語が話されています。宗教ではヒンドゥー教が多数を占めていますが、ムスリム、ジャイナ教徒なども多く暮らしています。「インド産業の父」と呼ばれるジャムシェトジー・タタや「インド独立の父」と呼ばれるマハトマ・ガンディー、そして現インド首相ナレンドラ・モディも、この地出身です。グジャラート州出身者とその子孫は、英語圏の東アフリカや米英などに多く移民として移住しています。

まとめ

グジャラート州は、長い歴史と豊かな文化、そして活気ある経済を兼ね備えた、インドを代表する州の一つです。今後もインド経済の成長を牽引していく重要な役割を担っていくことでしょう。

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