ホンダ・リトルホンダ

リトルホンダとノビオ：気軽に楽しめるモペッド

本田技研工業は、1960～70年代に、手軽で楽しいモペッドとして『リトルホンダ』を製造・販売しました。その後のモデルチェンジによって登場した『ノビオ』についても合わせて解説します。これらのモペッドは、軽快な走りと扱いやすさで、特に女性ユーザーから人気を集めました。

リトルホンダ：自転車感覚のモビリティ

1966年7月に発売された初代モデルP25型は、29,800円の標準価格で登場。軽量なフレームと、49ccの空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載したことで、自転車のような感覚で運転できる手軽さが魅力でした。ペダルを漕いでエンジン始動し、1速固定のトランスミッションで走行する仕組みで、ペダル走行も可能な設計です。前後17インチホイール、機械式リーディングトレーリングブレーキを採用、2.5Lの燃料タンクをリアキャリア直下に搭載していました。最高出力は1.2ps/4,200rpm、最高速度は25km/hに制限されていました。輸出モデルのP50型は、ホイールサイズが19インチに変更されたモデルや、最高速度制限機構が撤廃されたモデルも存在しました。

1969年5月には、PC50型が発売されました。価格は42,000円に上昇しましたが、前後ホイールを19インチへ大型化し、リアサスペンションをリジッドからスイングアーム式に変更するなど、改良が加えられています。エンジンはOHVに変更され、出力も1.8ps/5,700rpmに向上、最高速度は50km/hに引き上げられました。燃料タンクの容量も3Lに増加し、シート下に移動。方向指示器と制動灯も装備されるようになりました。

ノビオ：進化した操作性とデザイン

リトルホンダの後継車として1973年1月に登場したノビオ（PM50型）は、55,000円の価格で発売されました。スペイン語で婚約者を意味する名前が付けられています。PC50型をベースにしながらも、エンジンは空冷2ストロークピストンバルブ単気筒に変更。最高出力は1.8ps/4,000rpmを維持しつつ、最大トルクは向上しています。

1974年にはマイナーチェンジを実施。PM50 K1と名称変更され、価格は76,000円になりました。フロントバスケットの標準装備化、エンジン周辺のカバー追加、操作性の向上など、様々な改良が施されています。特に、花柄プリントが施されたシートやプーリーカバーなど、女性ユーザーを意識したデザインが採用されている点が注目されます。しかし、より安価なスクーターのロードパルが登場したこともあり、1975年に生産終了となりました。

まとめ：時代を彩ったモペッド

リトルホンダとノビオは、その手軽さ、扱いやすさ、そして女性ユーザーをターゲットとしたデザインで、多くの支持を集めました。これらのモペッドは、日本のモータリゼーションの歴史において重要な役割を果たし、現代のバイク文化にも影響を与えていると言えるでしょう。シンプルながらも実用的な設計、そして時代を感じさせるデザインは、今なお多くのファンを魅了しています。当時の技術やデザイン、そして社会情勢を反映した、貴重な存在と言えるでしょう。

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