ホンダ・CB250RS

ホンダCB250RS：軽快な走りとスタイリッシュなデザインが融合した名車

ホンダが1980年から1983年にかけて製造・販売したCB250RSは、250ccクラスのネイキッドタイプのオートバイです。型式名はMC02。その開発には、軽量化による高い操縦性が追求されました。

開発の背景：250ccクラスにおける新たな挑戦

1970年代までの250ccロードスポーツモデルは、多くの場合、350ccモデルと車体設計を共用していました。しかし、1975年の免許制度改正により、350ccクラスの需要は400ccクラスへとシフト。250ccクラスは、より大型の車体が主流となる中で、相対的にパワー不足が目立つようになりました。

他メーカーが250cc専用設計モデルを投入する中、ホンダは主力モデルであるホークシリーズを販売していましたが、400ccモデルと共用車体だったため車両重量が180kgにも達し、他社の専用設計モデルに性能で劣ると判断。そこで、軽量化を徹底的に追求した新型モデルの開発に着手しました。

車両解説：軽量化と走りのバランス

CB250RSは、XL250Sに搭載されていた空冷4ストローク単気筒エンジン（L250SE型）をベースに、MC02E型としてチューニング。専用設計のダイヤモンド型フレームを採用し、軽量なアルミニウムリム製スポークホイールを採用することで、ホークシリーズと比較して大幅な軽量化を実現しました。装備重量は139kgに抑えられています。最高出力は25psと、ホークシリーズより1ps低下しましたが、軽量化によるメリットがそれを補い、高い運動性能を実現しました。発売時にはレーサーの片山敬済をイメージキャラクターに起用し、「ヒラリ俊足 モダンシングル」というキャッチコピーで、その軽快な走りをアピールしました。

モデルバリエーションと進化：CB250RS-Z、CB250RS-ZR

CB250RSは、発売当初、フラットハンドルタイプのType1とアップハンドルタイプのType2の2つのモデルが用意されていました。オプションとしてビキニカウルも設定されていました。

1981年には、改良型のCB250RS-Zが発売されました。主な変更点は以下のとおりです。

セルフスターターの採用（キックスタート廃止）
エンジンチューニングの見直しによる性能向上（最高出力26ps、最大トルク2.3kg-m）
燃費向上（50km/h定地走行テスト燃費53.0km/L）
ハンドル形状変更（セミフラットタイプ）
フロントサスペンションのセミエア式化
ヘッドライトのハロゲンバルブ化
フロントブレーキのデュアルピストンキャリパー化
燃料タンクデザイン変更と容量増加（12L→13L）
シートカウルにロック付コンパートメントボックスの追加
ドライブチェーンのシールドタイプ化

同年、鈴鹿8時間耐久ロードレースでのホンダの優勝を記念した限定モデル、CB250RS-ZRも発売されました。CB1100RBをイメージした赤白のカラーリングや、エンジン・マフラーのブラック塗装、ゴールドアルマイトのホイールリムなどが特徴でした。

生産終了と後継モデル

1983年4月、エンジンヘッドをDOHCとしたCBX250RSにフルモデルチェンジされ、CB250RSの生産は終了しました。CB250RSは、その軽快な走りとスタイリッシュなデザインで多くのライダーを魅了し、ホンダの歴史に名を刻む名車となりました。軽量化を追求した設計思想は、後のホンダ車にも受け継がれています。

まとめ：時代を彩った名車

CB250RSは、単なる交通手段を超えた、所有する喜びを満たす一台でした。洗練されたデザインと、軽快な走りは、多くのライダーを虜にしました。その成功は、後継モデルであるCBX250RSへと受け継がれ、ホンダのバイク史における重要な一ページを飾っています。現代においても、その存在感は高く評価されており、中古市場でも人気が高いモデルです。

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