ホンダ・CB50

ホンダCB50：小型ロードスポーツの系譜

この記事では、ホンダが1971年から1982年にかけて製造販売した50ccロードスポーツモデル、CB50について解説します。CBシリーズ最小排気量モデルとして、エントリーユーザーに支持されたこのバイクは、幾度かのモデルチェンジを経て進化を遂げました。また、関連モデルとして、CB50より先に開発されたベンリイCB90についても触れていきます。

CB50：開発と特徴

CB50は、それまでのSS50の後継機として登場しました。カブ系エンジンを搭載したTボーンフレームを採用しつつ、CBシリーズの特徴である4ストロークエンジンを搭載。50ccクラスでは画期的だった分離型機械式タコメーターを備え、5速リターン式マニュアルトランスミッションも魅力でした。メガホン型マフラーやプライマリーキック始動装置も標準装備。

車体構造は鋼管パイプ製ダイヤモンド型フレームを採用。基本的なデザインや装備はモデルチェンジ後も共通でした。日本国内だけでなく海外にも輸出されましたが、輸出仕様は、道路交通法などの規制が異なるため、シートやタンデムステップの有無、車体色など、日本国内仕様とは異なる部分がありました。

エンジン：高回転型ユニット

CB50に搭載されたエンジンは、カブ系エンジンの水平に近い前傾角度とは異なり、12°とされていました。様々な排気量バリエーションが存在し、ショートストローク型ゆえに最高出力を10,500rpmで発揮する高回転型ユニットが特徴です。

モデルチェンジに伴い、カムプロフィール、圧縮比、キャブレター、点火時期などのチューニングが施され、性能向上とモデルキャラクターへの適合が図られました。このエンジンは、のちのノーティダックス、TL50、XE50・75、R&P、XL50S・80Sといった様々なモデルにも搭載されました。最終モデルであるAPEシリーズも、このエンジンの系譜を受け継いでいます。APEシリーズは、平成18年排出ガス規制に対応していましたが、平成28年排出ガス規制をクリアすることが困難なため、2017年に生産終了となりました。

モデルチェンジの歴史

CB50は、発売以来、何度もモデルチェンジを行いました。ここでは、日本国内仕様を中心にその変遷を辿ります。

1971年6月、ベンリイCB50として発売。前後ドラムブレーキ、クロームメッキフェンダー、CB750FOURを思わせるヒップアップシートなどを特徴としていました。

1973年5月には、前ブレーキをディスクブレーキに変更したベンリイCB50JXが登場。燃料タンク、シート、フェンダー、キックアームのデザイン変更、着脱可能なシートカウル装備などが行われました。

1976年2月には、ベンリイCB50JX-Iへモデルチェンジ。前輪ブレーキがディスクブレーキに統一され、最高出力が6.3psに向上しました。さらに、フロントフォーク、燃料タンク、フェンダー、ハンドル、シートカウル、マフラーなどが変更されました。サイドスタンドは標準装備となり、センタースタンドはオプションとなりました。

1978年3月には、車名をベンリイCB50JXに戻し、車体色を変更。

1980年2月には、CB50Sにモデルチェンジ。油圧式ディスクブレーキ、角型ウインカー、高輝度ヘッドライトなどを採用。リヤキャリアが標準装備となり、メーターパネルも変更されました。

1981年2月にはマイナーチェンジを実施し、フレーム色と車体色を変更しました。

そして1982年、CB50は生産終了となりました。

ベンリイCB90

CB50の登場前に、ホンダはベンリイCB90を開発していました。1970年1月に発売されたCB90は、最高出力10.5ps、89ccエンジンを搭載したモデルです。2人乗り可能で、CB50より車体が大きめでした。1972年には、前ブレーキをディスクブレーキに変更したCB90JX-DISKが追加されました。日本国内仕様はCB125JXへと発展し、1975年までに生産終了。一方、海外向け輸出仕様は排気量を99ccに拡大したCB100として1978年まで生産されました。

まとめ

CB50は、小型ロードスポーツモデルとして、多くのユーザーに親しまれていました。その歴史は、ホンダの技術革新と時代の変化を反映しています。 シンプルなデザインと扱いやすい性能、そして、数々のモデルチェンジを経て培われた信頼性。CB50は、ホンダのバイク史において重要な位置を占めるモデルと言えるでしょう。

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