ホンダ・CD

ホンダCDシリーズ：日本の道路事情に寄り添った実用車オートバイ

ホンダCDシリーズは、本田技研工業が1966年から製造・販売していたオートバイのシリーズ商標です。同社のロングセラーモデルであるベンリイシリーズやドリームシリーズの流れを汲むモデルとして誕生し、長きに渡り日本の道路事情に合わせた実用的なオートバイとして親しまれてきました。

シリーズの始まりと多様なラインナップ

CDシリーズ以前は、ベンリイC90・C92、ドリームC70・C71・C72といった125ccと250ccの空冷4ストロークSOHC2気筒エンジンを搭載したモデルが中心でした。しかし、CDシリーズではラインナップが大きく拡充されました。90cc以下の単気筒エンジンを搭載したモデルが登場し、また海外市場向けの輸出仕様モデルも開発されました。国内向けモデルでは、125cc以下のモデルは「ベンリイ」、250ccモデル（CD250Uを除く）は「ドリーム」のペットネームが用いられました。

実用性を重視した設計

CDシリーズのモデルは、実用性を重視した設計が特徴です。アップハンドル、シングルシート、大型リヤキャリア、フルカバードタイプのドライブチェーンケース、テレスコピック式の前輪サスペンションといった装備が共通して採用されました。タイヤサイズは、ドリームCD250が前後18インチ、それ以外のモデルは前後17インチでした。ブレーキシステムは、CD250Uのみ前輪に油圧式シングルディスクブレーキを採用していましたが、他のモデルは前後ドラムブレーキでした。ボディカラーは、国内向けモデルでは黒系または茶系の落ち着いたカラーが設定されていました。警察車両としての採用も多く、白色塗装されたモデルも存在しました。

モデルのバリエーションと生産終了

CDシリーズは、多様なモデルが展開されました。90cc以下の単気筒エンジンモデルは、ホンダ・スーパーカブシリーズと多くの部品を共有し、コストを抑えつつ高い信頼性を確保していました。125ccクラスのモデルは、2気筒エンジンを搭載し、よりパワフルな走行性能を提供しました。また、175cc、185cc、200ccモデルは、海外向け輸出専用モデルとして開発されました。

1990年代後半には、国内向けモデルは50cc、90ccの単気筒モデルと125ccの2気筒モデルに集約されました。しかし、2007年には、自動車排出ガス規制の強化に伴い、最後まで製造されていた50ccモデルの生産が終了。現在では、CDシリーズの新型モデルは製造・販売されていません。

競合車種との比較

CDシリーズは、当時、スズキのKシリーズやヤマハのYBシリーズといった競合車種が存在する市場において、独自の地位を築いていました。これらの競合車種と比較して、CDシリーズは、実用性、信頼性、そして価格のバランスにおいて優位性を保っていました。

まとめ

ホンダCDシリーズは、日本のモータリゼーションを支えた重要なオートバイシリーズの一つです。その実用的な設計、信頼性の高いエンジン、そして手頃な価格が、多くの人々に支持された理由でしょう。現在では生産終了していますが、日本のオートバイ史において重要な位置を占めるモデルであることは間違いありません。

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