ホンダ・CL

ホンダCLシリーズ：オンオフロードを駆け抜けたレジェンド

ホンダCLシリーズは、1960年代から1970年代にかけて同社が製造・販売したオートバイシリーズです。オンロードとオフロードの両方を走行できるスクランブラータイプとして人気を博しました。その歴史、特徴、そして現代への継承について詳しく見ていきましょう。

CLシリーズの誕生と進化

CLシリーズの始まりは、1962年に発売されたドリームCL72スクランブラーです。ベースとなったのは、ホンダを代表するロードスポーツモデルであるドリームCB72スーパースポーツでした。CL72は、CB72をベースに、オフロード走行に適した変更を加えることで誕生しました。

具体的には、タイヤはブロックパターンに変更され、マフラーはセンターアップ式に。エンジンは中低速トルクを重視したチューニングが施され、扱いやすさが向上しました。さらに、アップタイプのハンドルバー、変更されたサスペンションセッティングも、オフロードでの走破性を高める要素でした。一部モデルには、クランクケース下部に鉄製のアンダーガードが装着され、セルモーターは廃止、専用フレームを採用するなど、徹底的なオフロード仕様への変更が見られました。

その後、CLシリーズは様々な排気量のバリエーションを追加し、ラインナップを拡充。日本国内だけでなく、海外市場にも輸出され、世界中で人気を博しました。しかし、競合他社がより本格的なデュアルパーパスモデルを投入するようになると、CLシリーズの性能的な優位性は薄れていきました。

そのため、日本国内では1974年までに、よりオフロード性能を重視したSLシリーズや2ストロークエンジンのエルシノアシリーズへとモデルチェンジが進みました。海外向け輸出モデルも、XLシリーズへと移行し、1977年までにCLシリーズの生産は終了しました。

レトロブームとCLの復活

1990年代、レトロブームに乗って、CLシリーズは一時的に復活しました。50ccと400ccの2モデルが復刻され、往年のファンを喜ばせましたが、2000年代前半には再び生産中止となりました。

そして2022年、約20年ぶりにCLブランドが復活。現代風にアレンジされた新しいCL250とCL450が発表されました。レブルシリーズをベースとしたスタイリッシュなデザインと、扱いやすいエンジン特性を両立しており、現代のライダーにも受け入れられるモデルとなっています。

CLシリーズの特徴

CLシリーズの主要な特徴をまとめると以下のようになります。

オンオフロード両用:　オンロードモデルをベースにオフロード走行も可能な仕様に変更されています。
ブロックタイヤ:　オフロードでのグリップ力を高めるブロックパターンタイヤを採用。
アップハンドル:　直進安定性とオフロードでの操作性を両立するアップハンドルを採用。
センターアップマフラー:　地面とのクリアランスを確保し、オフロードでの走行性を向上させるセンターアップマフラーを採用。
専用チューニングエンジン:　中低速トルクを重視したエンジンチューニングにより、扱いやすさを向上。
専用フレーム、アンダーガードなど:　一部モデルでは、オフロード走行に耐えうる頑丈なフレームやアンダーガードが装備されていました。

CLシリーズと他のホンダ車との関係

CLシリーズは、ホンダの他のオートバイシリーズ、例えばベンリィ、ドリーム、SLシリーズなどとの関連が深く、技術的・デザイン的な共通点が見られます。特に、ドリームシリーズはCLシリーズのベースモデルとして重要な役割を果たしました。

まとめ

ホンダCLシリーズは、日本のモーターサイクル史において重要な位置を占めるモデル群です。オンロードとオフロードの両方を走破できるそのコンセプトと、個性的なデザインは多くのライダーを魅了しました。生産終了から時を経て、再び現代に復活したCLは、新たな時代におけるホンダの挑戦と、往年の名車の系譜を繋ぐ存在として注目を集めています。今後、CLシリーズがどのような進化を遂げるのか、楽しみでなりません。

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