ホンダ・FCX

FCX（エフシーエックス）について

FCXは本田技研工業が手がけた燃料電池自動車で、これまでに約20台がリースされてきました。このモデルは、固体高分子形燃料電池とウルトラキャパシタを組み合わせたハイブリッドシステムを特徴としており、2002年からアメリカと日本で販売が開始されました。

発表と特徴

FCXのプロトタイプは2002年10月に公開され、同年12月からリース販売がスタートしました。この車両は環境保護庁（EPA）およびカリフォルニア州大気資源局から認定を受けた、世界初の燃料電池車です。FCXは、最高出力が78kWの燃料電池スタックを持ち、リア床下には水素タンク（68Lと88Lの合計156.6L）が搭載されています。最大充填水素量は350気圧で、全体の水素量は約3.75kgです。

ウルトラキャパシタはリアシートの後ろに設置されており、静電容量は8.0F、エネルギー密度は3.9Wh/kgに達し、出力密度は1.5kW/kg以上です。モーターのトルクは238N·mから272N·mに向上し、最高回転数は11,000rpmに達します。最高効率は97%、平均効率は93%以上です。最高速度は150km/hの能力があります。

また、エアコンには温水加熱システムを導入し、快適装備も充実しています。2002年にはロサンゼルス市庁と中央官庁に納車され、2005年にはカリフォルニア州での個人向けリースが開始されました。

改良型の登場

2003年10月には「Honda FC STACK」を搭載した改良型FCXが発表されました。新しい燃料電池スタックは従来のカーボンセパレーターに代わって、ステンレス鋼板を使用したプレスセパレーターを採用し、部品点数を半減。さらには出力密度が2倍以上向上し、耐久性も大幅に強化されました。その結果、-20度でも発電が可能となり、暖気に要する時間も短縮されました。

この新型FCXはモーターの出力も80kWに向上し、エネルギー効率は55%となっています。さらに、冬季の公道試験では厳しい気象条件でも問題なく動作することが確認されています。

プロトタイプと歴史

FCXシリーズは様々な試作モデルが存在しました。初期のモデルFCX-V0は初代オデッセイをベースにした実験車であり、その後1999年から毎年新型の燃料電池実験車が登場しました。型はFCX-V1からFCX-V4まで進化し、それぞれに新技術が盛り込まれています。

特に、FCX-V3では高圧水素を使用して性能向上を図り、ウルトラキャパシタを採用することで俊敏な加速感覚を実現。FCXシリーズはカリフォルニアフューエルセルパートナーシップ（CaFCP）にも参加し、一般道での走行テストも行っています。

主要なリース先

FCXはアメリカと日本で多くの公共機関にリースされています。特に、カリフォルニア州ではロサンゼルス市やサンフランシスコ市などに納入され、また日本では内閣府や環境庁にもリースされました。

2002年には初めて水素燃料電池自動車としての認定を受け、その後も多くの実証試験やプロジェクトに参加し続けました。FCXの開発は、将来の環境に優しい自動車技術に向けた重要な一歩となり、持続可能な社会に向けた大きな貢献を果たしました。

もう一度検索