ホンダ・G´

ホンダ G'：コンパクトでスポーティな50ccスクーター

1989年、ホンダは新たな50ccスクーター「G'（ジーダッシュ）」を発表しました。そのスタイリッシュなデザインと軽快な走りは、多くのライダーを魅了しました。本稿では、G'の開発経緯、メカニズム、そして後継モデルとの関係性について詳しく解説します。

開発コンセプトと市場背景

G'は、1988年に発売された「パックスクラブ」と「DJ-1 RR」という2つの異なるコンセプトを持つスクーターの系譜を受け継いでいます。パックスクラブは実用性を重視したモデル、DJ-1 RRはスポーティな走りを追求したモデルでした。G'はこれらの両モデルの優れた点を融合し、より洗練された、そしてスポーティなスクーターを目指して開発されました。当時、50ccスクーター市場は競争が激化しており、ホンダはG'によって新たな市場を開拓しようと試みました。

車両のメカニズムと特徴

G'は、アンダーボーンフレームを採用し、軽量コンパクトな車体が特徴です。全長は1,585mm、ホイールベースは1,140mmと、取り回しの良さを重視した設計となっています。乾燥重量はわずか59kgと軽量で、取り回しの容易さや機動性の高さが魅力でした。

搭載されたエンジンは、空冷2ストローク単気筒のAF18E型エンジンです。排気量は49ccながら、最高出力6.8ps/7,000rpm、最大トルク0.73kg-m/6,500rpmと、力強い走りを実現していました。内径×行程は39.0mm×41.4mm、圧縮比は7.2と、コンパクトながらも高い性能を発揮するよう設計されています。セルスターターとキックスターターの両方を備えており、始動も容易でした。

また、サスペンションにはテレスコピック式を採用し、DJ-1 RRの片側油圧式ダンパーから、G'では左右に油圧式ダンパーを装備。より洗練された乗り心地を実現しています。ブレーキシステムも、従来の機械式ドラムブレーキから、前輪には油圧式シングルディスクブレーキを採用し、制動力の向上も図られています。

G' の市場での成功と生産終了

G'は1989年1月25日に発売され、年間販売目標50,000台、標準販売価格143,000円という価格設定でした。発売当初は高い人気を博し、ホンダの戦略は成功したと言えるでしょう。しかし、市場環境の変化や、より新しいモデルの登場などにより、1990年には生産を終了しました。

後継モデルとのつながり

G'のコンセプトを受け継ぎ、さらに進化したモデルとして、1992年に「ディオZX」が発売されました。ディオZXはG'と同様にスポーティな走りを目指したモデルですが、エンジンやサスペンションなどの主要な構成要素は、G'から継承されています。ディオZXはG'の後継モデルとして、その人気をさらに継承していきました。

まとめ

ホンダG'は、コンパクトな車体とパワフルなエンジン、そしてスポーティな走りで人気を博した50ccスクーターでした。その開発背景、メカニズム、そして後継モデルとの関係性を知ることで、G'の魅力をより深く理解することができるでしょう。G'は、ホンダの50ccスクーターの歴史において重要な位置を占めるモデルと言えるでしょう。

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