ホンダ・NC

Honda NCシリーズ：ミドルクラスオートバイの新たな基準

Hondaが世界規模で実施した市場調査から生まれたNCシリーズは、140km/h以下の走行、6000rpm以下の常用回転数というユーザーニーズを捉え、「扱いやすい」「快適で燃費が良い」「価格が手頃」というコンセプトのもと開発されました。2011年に欧州で発表され、日本、北米でも販売されるグローバルモデルとして成功を収めました。

多様なモデルバリエーション

NCシリーズは、共通のエンジンと車体構造をベースに、外装、ブレーキ、トランスミッション、サスペンションなどを組み合わせることで、幅広いユーザーのニーズに対応する多様なモデルを展開しました。主なモデルは以下の通りです。

ネイキッド：NC700S/NC750S　シンプルでスポーティなデザイン。
クロスオーバー：NC700X/NC750X　オンロードとオフロードの両方に対応できるデザイン。NC700X Type LDは足つき性を向上させた日本限定モデル。
スクーター風：インテグラ（NC700D/NC750D）　スクーターのような快適性とオートバイの走りを融合させたモデル。
教習車仕様：NC750L　教習所向けに設計されたモデル。

独自のエンジンと車体設計

NCシリーズは、低中速トルク重視の670cc（RC61E型）および750cc（RC67E型、RC70E型、RH14E型、RH09E型）パラレルツインエンジンを搭載。270°クランクピストン位相と1軸（RC61E型）または2軸（RC70E型以降）バランスシャフトにより振動を抑制しつつ、心地よい鼓動感を生み出しました。自動車用エンジンの技術を応用し、低フリクション化、軽量化を実現。燃費は60km/h定地走行で41.5km/L（NC700S）を達成しました。また、750ccモデルでは出力向上と燃費改善が図られました。

車体にはスチール製のダイヤモンド型フレームを採用。燃料タンクはシート下に配置し、そのスペースにヘルメットなどを収納できるラゲッジスペースを設けました。サスペンションはフロントにテレスコピック、リアにプロリンク式スイングアームを採用。ブレーキは前後シングルディスクで、前輪は320mmの大口径ローターを使用。コストを抑えつつ、高性能を実現しています。トランスミッションは6速マニュアルとデュアルクラッチ[[トランスミッション]]（DCT）が選択可能で、DCTモデルにはABSが標準装備されました。

モデルの変遷

NCシリーズは、発売後も継続的に改良が加えられました。750ccモデルへの排気量アップ、エンジン性能向上、電子制御システムの追加、デザイン変更など、ユーザーニーズに対応した進化を遂げています。特に2021年モデルでは、フルモデルチェンジにより軽量化と性能向上を果たしました。

まとめ

Honda NCシリーズは、市場調査に基づいたユーザーフレンドリーな設計、多様なモデルバリエーション、優れた燃費性能、そして継続的な進化によって、ミドルクラスオートバイ市場において高い人気を博しました。快適性と実用性を両立したその設計思想は、後のHondaのオートバイ開発にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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