ホンダ・NS-1

ホンダ NS-1：スポーティなデザインと実用性を両立した名車

ホンダが1991年から1999年まで製造・販売していたNS-1は、49ccの原付バイクながら、その魅力的なデザインと優れた機能性で多くのライダーを魅了しました。フルカウルをまとったスーパースポーツスタイルは、当時としては非常に斬新で、多くの若者から人気を集めました。

メットインスペースと高い収納力

NS-1最大の特徴は、燃料タンクに相当する部分がメットインスペースになっている点です。メーカーは「ラゲッジボックス」と呼んでいましたが、その容量は24Lと、同排気量クラスの他のバイクと比べて非常に大きく、フルフェイスヘルメットだけでなく、システムヘルメットも収納可能です。カタログにもフルフェイスヘルメットを収納した写真が掲載され、その収納力の高さをアピールしていました。

充実した機能性と高い性能

NS-1は、見た目だけでなく、性能も優れていました。AC08E型水冷2ストローク単気筒エンジンは、先代のNS50Fから受け継いだもので、力強い走りを提供しました。また、車体サイズは同排気量クラスでは最大級で、全長1905mmと、大型バイクにも匹敵する堂々としたスタイルを誇っていました。

ヤマハTZR50/TZR50Rと人気を二分するほどの人気モデルでしたが、部品点数が多いにもかかわらず、軽量化を図ることで乾燥重量は100kgを切っていました。これは、性能、外観、使いやすさの三拍子が揃った、まさにバランスの取れた一台と言えるでしょう。

継続的なマイナーチェンジと生産終了

発売後、NS-1は1995年と1998年にマイナーチェンジを受けました。ヘッドライトのデザイン変更、点火装置の改良、インテークチャンバーの追加など、性能向上とデザインの洗練が図られていました。しかし、1997年にホンダがオートバイエンジンの4ストローク化方針を発表したことにより、1999年にNS-1の生産は終了しました。

豊富なアフターパーツと高いメンテナンス性

NS-1は、NS50FやNSR50、MBX50/50Fと共通のエンジンを搭載していたため、アフターパーツが豊富に存在します。純正パーツはもちろん、社外カスタムパーツも充実しており、メンテナンスやチューニングが容易に行えました。エンジンへのアクセス性もよく、腰上オーバーホールもフレームからエンジンを取り外すことなく行えるなど、整備性の高さも魅力でした。

特に1996年発売の最終モデルであるスパークリングシルバーメタリックモデルは、1998年以降も販売が継続され、多くのアフターパーツが供給されているのが特徴です。

競技用モデルと純正オプション

モリワキエンジニアリングは、NS-1をベースにした競技用モデルを開発し、鈴鹿サーキットで小排気量クラスのコースレコードを樹立しました。この記録は、2021年現在も破られていません。

純正オプションでは、リヤキャリアが設定されており、メットインスペースとの組み合わせにより、高い積載性を実現していました。設計者インタビューによると、当初はバックシートパッドやリアキャリアを装着した状態で販売される予定でしたが、コスト削減のため省略されたとのことです。そのため、多くのNS-1にはリアキャリア装着用のネジ穴が残されています。これらのことから、リアキャリア装着は、NS-1本来の姿を取り戻す整備とも言えるでしょう。しかし、これらの純正オプションは生産終了後、入手困難になっています。

派生車種：NSR75

スペインのモンテッサ・ホンダは、NS-1のフレームにNSR80のエンジンを搭載したNSR75を製造・販売しました。メットインスペースはガソリンタンクに変更され、タンデム機能が追加されました。

まとめ

NS-1は、スポーティなデザインと実用性を兼ね備えた、ホンダを代表する名車の一つです。高い人気を誇り、現在でも多くのファンから愛されています。その魅力は、優れたデザイン性、充実した機能性、そして豊富なアフターパーツと高いメンテナンス性にあると言えるでしょう。生産終了から年数が経過していますが、その人気は衰えることなく、中古車市場でも高い人気を誇っています。

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