ホンダ・NS50F

ホンダNS50F/NS50R：軽快な走りとレーシングスピリットの融合

ホンダが1987年から1995年まで製造・販売していたロードスポーツタイプの原付バイク、NS50F。そして、そのレーシングモデルであるNS50R。この2車種は、コンパクトな車体に秘めた高いポテンシャルと、個性的なスタイリングで多くのライダーを魅了しました。本稿では、それぞれのモデルの特徴や歴史を詳細に解説します。

NS50F：街乗りとスポーティさを両立

NS50Fは、49cc水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載した原付バイクです。CBR250FOURを彷彿とさせるハーフカウルを装備し、同クラスのバイクと比較して一回り大きな車体が特徴的でした。10リットルの大容量燃料タンクも、ロングライドを可能にする魅力的なポイントでした。

エンジンはMBX50系と基本設計を共有しながらも、最高出力7.2psを誇り、軽快な走りを実現。発売当初は「NS50F・エアロ」として販売され、1989年には車名変更と同時にヘッドライトをデュアルタイプに変更するなど、幾度かのマイナーチェンジを経て進化を遂げました。ロスマンズカラーの限定車も発売され、多くのライダーから支持を集めました。

NS50R：サーキットを駆け抜けるレーシングマシン

NS50Rは、ホンダのレーシング部門であるHRCが受注販売していた、公道走行不可の競技専用モデルです。NS50Fをベースとしながらも、徹底的な軽量化と性能向上を図り、ミニバイククラスのレースシーンで活躍しました。

具体的には、アッパーカウルや保安部品が取り除かれ、始動方式はキックスターターから押し掛けに変更。潤滑方式も混合給油となり、車重は75kgまで軽量化されました。タイヤサイズも変更され、より高いグリップ性能とコーナリング性能を実現。1987年から2008年まで製造され、長年にわたって多くのライダーに支持されるレーシングマシンとなりました。

NS50F/NS50R：時代を彩った名車

NS50F/NS50Rは、そのスタイリッシュなデザインと、パワフルでありながら扱いやすいエンジン、そしてレーシングモデルとしての高いポテンシャルにより、多くのライダーを魅了しました。

NS50Fは、街乗りからツーリングまで幅広く対応できる実用性の高さも魅力。一方、NS50Rは、サーキットでの熱い戦いを支えた、まさにレーシングスピリットの塊と言えるでしょう。

両モデルは、すでに生産が終了していますが、その存在は、日本のバイク史において、重要な1ページを飾るものと言えるでしょう。現在でも中古市場で人気が高く、当時のバイクブームを肌で感じたいライダーからは根強い人気を誇っています。ホンダの2ストロークエンジン技術の粋を集めたNS50F/NS50Rは、これからも多くのバイクファンを魅了し続けることでしょう。

参考文献:

日本モーターサイクル史 1945→2007 八重洲出版（ヤエスメディアムック 169）2007年7月30日発行 ISBN 978-4861440717
図解でわかる バイクのメカニズム - 基本からマスターできるメカの学習参考書 山海堂（Sankaido motor books）小川直紀 2001年11月1日第1刷発行 2003年5月8日 第3刷発行 ISBN 978-4381077486

関連項目:

ホンダ・NS
ホンダ・NSR
ホンダ・NS-1

外部リンク:

本田技研工業公式HP
2輪製品アーカイブ NS50F
HRC NS50R

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