ホンダ・NSX

NSX (エヌエスエックス)

概要

NSXは、本田技研工業（ホンダ）によって製造された2シーターのミッドシップスポーツカーであり、1989年に発表されました。そのキャッチコピーは『our dreams come true』や『緊張ではない、解放するスポーツだ』で、ホンダが提供する新たなスポーツカーの象徴として位置づけられました。名称のNSXは、「ニュー」「スポーツカー」の「X」を組み合わせたもので、このモデルの革新性を示しています。NSXは1990年9月に販売を開始し、2006年1月までの期間、デザイン変更は一切行われず、ずっと製造されました。

当初の価格は800万円からスタートし、エンジンや装備の改良が進む中で900万から1,500万円以上に達しました。この価格は当時の日本国内のスポーツカー市場において最も高額であり、ホンダのフラッグシップモデルとしての位置を確立していました。NSXはその特異な設計で、日本を代表するスーパーカーと評されました。

特徴的なデザインに加え、NSXはエンジンを運転席の後方に搭載し、後輪を駆動するミッドシップエンジン・リアドライブ方式（MR）を採用しました。また、オールアルミモノコックボディを世界で初めて採用した市販車としても知られています。この革新設計は、社団法人自動車技術会において「日本の自動車技術180選」にも選ばれました。特に、NSXはすべての生産工程が手作業で行われるため、その製品は非常に高い品質を保っています。

ホンダの販売網の中では、特にベルノ店での取り扱いがありました。北米ではアキュラブランドの一部として「NSX」として販売された他、欧州向けは燃費や排ガス規制に適応するのが難しいことから早期に生産が終了しました。

開発経緯

NSXの開発は1984年に遡ります。ホンダはF1エンジン製造者としての経験を活かして、市販車市場への進出を目指しました。開発責任者の上原繁は、「世界最高峰の技術を投入した高性能スポーツカーの実現」を掲げ、F1技術を応用した品を目指しました。リリース時期はバブル経済の最中であり、多くの人々が予約を入れるという状況が続きました。

開発プロセスでは、モデルを制作するために多数のテストとフィードバックが行われ、その結果、ボディの剛性強化と軽量化が実現されました。新たに開発されたエンジンは、社内の高級車レジェンドに基づき、排気量を増加させたV6エンジンが搭載されました。このエンジンは後にVTEC技術を取り入れ、動力性能をさらに向上させました。

設計思想

NSXのデザインは、ドライバーを中心に考慮されており、従来のスポーツカーとは一線を画しています。視界の確保を重視し、F-16戦闘機をイメージしたフロントウィンドウ設計によって、運転者に特別な体験を提供しています。また、運転の快適性を向上させる工夫が成されており、ドライバーに負担をかけない作りがされています。このような設計思想は、新しい世代のスポーツカーとしての地位を確立する要因となっています。

歴史とモデル展開

初代NSX（NA1/2型）は1990年から2005年まで製造されました。年間生産台数は当初は高止まりしていましたが、バブル崩壊の影響を受けることになります。多くのモデルが展開され、標準モデルに加え、タイプRモデルや特別仕様車も発売されました。特に、タイプRは軽量化が進められ、サーキット走行を念頭に置いた設計が評価されました。

2005年には、次世代の燃費や排ガス規制に適応できないとの理由から、製造は終了しました。NSXは、北米と欧州で高い評価を受け、計14,000台以上が販売されました。

レース活動

NSXは販売当初はレース専用車両ではなく、IMSA（アメリカ国際自動車選手権）に3年間参加し、並行して様々なレースにも出場しました。その後、NSX-Rの投入を機に、国内外での競技に特化したモデルとしても利用されました。特に全日本GT選手権では、チャンピオンを獲得したことがあり、多くのサプライズをもたらしました。

パトカー

さらに、NSXは栃木県警察のパトカーとしても利用されており、そのモデルは現在も現役で使用されています。特別なナンバーが取り付けられ、地域の交通安全に寄与しています。

NSXは、ホンダの卓越した技術と情熱の結晶であり、今もなお多くの自動車ファンに愛され続けています。

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