ホンダ・S型エンジン

ホンダ・S型エンジン

ホンダ・S型エンジンは、本田技研工業が製造する軽自動車用の直列3気筒ガソリンエンジンで、主にN-BOXなどのモデルに搭載されています。このエンジンは、特に燃費効率と低回転域でのトルクを重視して設計されています。

第1世代 S07A

初代のS07Aエンジンは、かつてのE型およびP型エンジンに代わる形で登場しました。特徴的なのは、ボアストローク比が短縮され、ロングストローク仕様となった点です。これにより、街乗りでの取り回しが向上し、低回転域でのトルクが強化されています。また、エンジンの重量は約15%軽量化され、コンパクトなエンジンルームを実現しています。この設計には、安全性を考慮した工夫が施されており、衝突時にはエンジンの補機が潰れ、衝撃を吸収する仕組みが採用されています。

ただし、高圧縮比により低回転域の燃焼効率を優先した結果、高回転域での効率が悪化する点も指摘されています。エンジンの動弁機構としては、ホンダの軽自動車向けエンジンの中で初めてDOHC（ダブルオーバーヘッドカムシャフト）が採用されており、吸気・排気それぞれ2つのバルブがタイミングチェーンで駆動されるカムシャフトによって開閉されています。この技術により、吸気効率が向上し、エンジンの静粛性も高まっています。

また、NA（自然吸気）の燃焼効率向上のために、ツインインジェクションとナトリウム封入バルブの技術が取り入れられています。これにより、圧縮比は11.8に引き上げられ、燃費性能が大幅に改善されました。さらに、ホンダは「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」という次世代革新技術を推進しており、S型エンジンはその初号機として位置づけられています。

第2世代 S07B

第2世代となるS07Bエンジンは、S07Aと比較してボアが小さくストロークが長い、すなわちロングストローク化されています。具体的には、ボア×ストロークが64.0mm×68.2mmから60.0mm×77.6mmに変更されました。これにより、さらなる性能向上が図られています。加えて、i-VTECや電動ウェイストゲートバルブなどの新技術が導入され、吸排気系でも工夫が施されています。

次世代のバリエーションとして、NA仕様とターボ仕様の両方が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。例えば、NA仕様では圧縮比が12.0に設定されており、最大出力は43kW（58PS）、最大トルクは65N·mに達しています。ターボ仕様では、圧縮比が9.8に設定され、出力は47kW（64PS）、トルクは104N·mとなっています。

幅広い搭載車種

S型エンジンは、N-BOXの他にもN-VAN、N-WGN、N-ONEなど、ホンダの多様な軽自動車に搭載されています。S07AエンジンはN-BOXを皮切りに、N-WGNでのツインインジェクション導入を果たし、S07Bエンジンはその後のN-BOXに搭載されています。このように、ホンダはS型エンジンを通じて、軽自動車市場における新しい基準を設定し続けているのです。

まとめ

ホンダ・S型エンジンは、最新技術と優れた性能を兼ね備えた軽自動車用エンジンであり、そのデザインと機能は今後も多くのドライバーに支持され続けるでしょう。環境への配慮や燃費性能の向上を通じて、ホンダの技術革新は更なる進化を続けると期待されています。

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