ホンダ・Sh mode

ホンダ Sh mode：ヨーロッパの街路を駆け抜けた、実用性の高いスクーター

2013年から2015年まで、本田技研工業が販売していたSh modeは、原付二種（124cc）のスクーターです。その名の通り、ヨーロッパの街中での使用を想定した設計が特徴で、日本のユーザーにも高い評価を得ました。本記事では、Sh modeのスペック、デザイン、歴史、そして、市場における位置づけについて詳細に解説します。

Sh modeの開発コンセプトとデザイン

Sh modeの開発コンセプトは「FRIENDLY EUROPEAN COMMUTER」でした。これは、世界中の都市環境で安心して使える、上質なコミューターを目指したことを意味します。デザインは、チャーミングでエレガントなスタイルを追求。誰にでも扱いやすい車体構成とライディングポジション、そして街乗りでの安心感を重視した設計となっています。

最大の特徴は、スクーターとしては大径となる前輪16インチ、後輪14インチのホイールサイズです。この大径ホイールは、ヨーロッパの石畳など、路面状況の悪い場所でも安定した走行を実現します。さらに、ハンドル切れ角を左右46°に設定することで、取り回し性の良さも両立しています。回転半径はわずか1.9mと、小回りが利くのも魅力です。

車体のサイズは、全長1930mm、全幅665mm、全高1105mm、ホイールベース1305mm、最低地上高145mm、車両重量116kgとコンパクトにまとまっています。シート高は765mmとやや高めですが、アップライトなポジションは快適なライディングをサポートします。シート下には18Lのメットインスペースと、5.5Lの燃料タンクを備えています。

エンジンと走行性能

Sh modeには、水冷4ストロークSOHC単気筒124ccエンジン（JF51E型）を搭載。PCXやLEADにも搭載されたJF28型エンジンと設計を共有しており、信頼性と経済性に優れています。アイドリングストップシステムやACGスターターの採用、低摩擦化技術の導入などにより、優れた燃費性能を実現しています。

最高出力は8.4kW（11ps）/8,500rpm、最大トルクは12N・m（1.2kgf・m）/5,000rpmです。国土交通省届出値では60km/h定地燃費52.0km/L、WMTCモード値では49.5km/Lを達成しています（クラス1）。変速機はVマチック無段変速機を採用しており、スムーズな加速と走行を実現しています。

サスペンションは、フロントにテレスコピック、リアにユニットスイングを採用。ブレーキは、前輪に220mm径の油圧式ディスクブレーキ、後輪に130mm径の機械式リーディングトレーリングブレーキを装備し、コンビブレーキシステムも備えています。

Sh modeの歴史と販売状況

Sh modeは、2013年8月30日に発表され、同年9月13日に発売されました。国内販売目標は年間3,000台で、消費税抜希望価格28万5000円でした。ボディカラーは、パールイージーシープゴールド、パールジャスミンホワイト、ポセイドンブラックメタリックの3色が用意されていました。

しかし、2015年には海外向け輸出仕様のヨーロッパ内自動車排出ガス規制Euro 4対応によるフルモデルチェンジが行われ、それに伴い日本国内向けの本モデルは生産終了となりました。比較的短い販売期間でしたが、その優れた実用性とデザインから、多くのユーザーに支持されました。

まとめ

Sh modeは、ヨーロッパの街路環境を意識した設計、優れた燃費性能、そして扱いやすい車体と、多くの魅力を持つスクーターでした。生産終了後も根強い人気を誇っており、中古市場でも高い人気を維持しています。Sh modeは、コンパクトで実用的なスクーターを求めるユーザーにとって、魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

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