ホンダ・XL

ホンダXLシリーズ：デュアルパーパスモデルの系譜

ホンダXLシリーズは、同社がかつて製造・販売していたオートバイのシリーズ名です。CLシリーズやSLシリーズの後継として登場し、4ストロークガソリンエンジンを搭載したデュアルパーパスモデルに用いられました。その歴史は長く、1970年代から1980年代にかけて数多くのモデルが誕生し、世界中のライダーに愛されました。

XLシリーズの始まりと進化

XLシリーズの始まりは1972年。ドリームSL250Sの北米輸出仕様車としてXL250が登場しました。その後、海外向け輸出モデルとしてSLシリーズからの車名変更モデルが追加され、1975年には日本国内でもXL125、XL250の販売が開始されました。

初期のXLモデルは、空冷SOHC単気筒エンジンを搭載し、6Vの電装系を採用していました。多くのモデルで、XLという車名に排気量を組み合わせたシンプルな命名規則が用いられました。一部モデルはSLシリーズからの改良版という位置付けでした。

シリーズは、排気量の異なるバリエーションモデルが追加されただけでなく、V型2気筒エンジンを搭載する派生モデルも登場するなど、ラインナップは多様化していきました。

主要モデルの解説

XLシリーズには、50ccから600ccを超える様々な排気量のモデルが存在しました。代表的なモデルをいくつか紹介します。

XL125: SL125Sをベースにモデルチェンジされた、125ccモデル。21インチの前輪と18インチの後輪を備え、ダイアモンド型フレームを採用していました。エンジンの仕様は製造年によって異なりました。
XL250: XLシリーズの代表的なモデル。250ccクラス以上のモデルでは4バルブエンジンを搭載していました。北米では1972年初頭に販売が開始され、日本国内ではドリームSL250Sとして販売されました。後継モデルも多数存在します。
XL100/XL100S: 100ccクラスのモデル。XL100はCL100の後継モデルとして登場し、後にXL100Sへとモデルチェンジされました。
XL175/XL185S: 海外向け輸出専用モデル。XL125と同様の車体に、排気量を拡大したエンジンを搭載していました。
* XL500S: XL250Sをベースに開発された500ccの大型モデル。免許制度の関係から、日本国内での販売台数は少なかったとされています。

XL SシリーズとXL Rシリーズ

1978年には、XL Sシリーズが登場。軽量化、メンテナンスフリー化、操作性の向上などが図られました。点火装置がCDIに変更され、125cc以上のモデルではキックペダル連動デコンプシステムが採用されました。250cc以上のモデルでは、振動軽減のための2軸式バランスシャフトも搭載されました。

1981年にはXL Rシリーズが登場。リアサスペンションがプロリンク式に変更され、電装系が12V化、ホイールサイズは前21インチ/後17インチに統一されました。このシリーズは、エンデューロレースでの活躍も目覚ましく、パリ・ダカール・ラリーへの参戦モデルのベースとしても使用されました。

エンデューロレースとXLシリーズ

XLシリーズは、エンデューロレースにおいて高い人気を誇っていました。特に、XL185Sをベースに開発されたXR185は、北米市場で高い評価を受けました。その成功が、XRシリーズの排気量別展開につながったと言われています。

1982年のパリ・ダカール・ラリーでは、XLをベースとしたマシンが優勝を果たし、そのレプリカモデルである「パリダカ」が発売されました。このモデルは、大容量燃料タンクや大型リアキャリアなどが特徴でした。

XLシリーズの終焉とその後

1980年代に入ると、XLシリーズはXLX、XLR、XRシリーズへとモデルチェンジされ、日本国内での販売は終了しました。しかし、1990年代以降、他モデルをベースとした復刻モデルが登場するなど、XLシリーズへの関心は現在でも根強く残っています。

まとめ

ホンダXLシリーズは、長年に渡り多くのライダーに愛されてきた、歴史あるデュアルパーパスモデルです。その多様なモデル、エンデューロレースでの活躍、そして復刻モデルへの展開は、XLシリーズがオートバイの歴史に大きな足跡を残したことを示しています。 様々な排気量、様々な仕様、そしてその進化の歴史は、ホンダの技術力の高さ、そして市場ニーズへの対応力の高さを物語っています。 現在では、XLシリーズの直接的な後継モデルは存在しませんが、その精神は後の多くのホンダのオフロードモデルに受け継がれていると言えるでしょう。

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