点火装置

点火装置

点火装置（てんかそうち）とは、エンジンやストーブなどの燃料を点火するための装置を指します。これらの装置は、燃焼室内や熱源において燃料を効率的に点火する役割を果たします。点火方式には、多様な技術が存在し、特に内燃機関では火花点火方式が一般的です。

火花点火内燃機関

火花点火内燃機関では、ガソリンエンジンが代表的な存在です。初期の内燃機関では、熱した加熱管を使用して点火する方法が採られていましたが、19世紀末には電気火花による点火方式が登場し、ガソリンエンジンに広く採用されるようになりました。これは火花点火エンジンの重要な進化を示すものです。

点火装置の種類

点火装置の種類には、以下のようなものがあります。

マグネトー式点火装置

マグネトー式は、磁石とコイルによる電磁誘導を利用して電気を発生させる方式です。この方式は、エンジンの回転数に依存して点火電圧が変化するため、低回転時に電圧が不足することがあります。

切り替え式点火装置

初期の自動車や航空機では、マグネトーと非充電式乾電池を使用して点火電圧を供給する切り替え式の装置がありました。これにより、エンジンを手動で始動する際の信頼性が高められましたが、現在ではほとんど使用されていません。

バッテリー式点火装置

近代自動車では、バッテリー式点火装置が主流となっています。この方式では、ダイナモやオルタネーターから発電された電気をバッテリーに蓄え、後に各気筒に供給する仕組みになっています。発明者のチャールズ・ケタリングの技術は、自動車の始動を容易にし、より安全で便利な運用を可能にしました。バッテリー式は、セルフスターターを搭載した車両でも広く使われています。

機械制御式点火装置

多くの4ストロークエンジンにおいては、機械的に点火のタイミングを調整して点火を行う装置が使われます。ディストリビューターがその中心的な役割を果たし、カーバッテリーから供給された電力で点火コイルを制御します。これにより、高電圧が生成され、燃焼室の点火が実現されます。

電子制御式点火装置

1970年代からは、電子制御式点火装置が導入されました。これにより、従来のコンタクトブレーカーを使用せず、電気的に点火のタイミングを制御できる方式が普及しました。特に、フル・トランジスタ式はメンテナンスフリーで、高い信頼性を可能にしています。今では、ECUによる制御で、燃料噴射と同時に点火の制御を行うシステムが一般的です。

CDI式点火装置

CDI式は主に小型エンジンやオートバイで使用され、コンデンサとマイクロプロセッサを用いて、点火時期を調整します。小型で安価なため、多くの機器に採用されています。

ダイレクトイグニッション

最近の車両では、各点火プラグに直接点火コイルを設置したダイレクトイグニッション方式が主流です。可動部分がないため、非常に信頼性が高く、パフォーマンスも優れています。しかし、整備性においては課題があります。

ガスタービンやジェットエンジンの点火装置

これらの装置は、通常の内燃機関とは異なり、ガスタービンは始動時にのみ点火装置が必要です。燃焼を持続するためには、空気と燃料の適切な比率が求められます。特に航空機用では、迅速な再始動が求められます。

関連項目

• - ガソリンエンジン
• - 点火コイル
• - バッテリー式点火装置
• - CDI式点火装置

このように、点火装置は歴史的な発展を通じて多様な技術が生まれ、今でも多くのエンジンやストーブで重要な役割を果たしています。

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