ホンダ・XL1000V バラデロ

ホンダ XL1000V Varadero と XL125V Varadero：アドベンチャーツーリングの系譜

キューバの保養地、バラデロにちなんで名付けられたXL1000V Varaderoは、ホンダがかつて製造・販売していたアドベンチャーツーリングバイクです。力強いエンジンと快適な走行性能を両立させ、長距離ツーリングにも対応できる一台として欧州を中心に人気を博しました。本稿では、XL1000V Varaderoと、その弟分にあたるXL125V Varaderoについて、詳細に解説します。

XL1000V Varadero：フラッグシップモデルの系譜

1998年に発表されたXL1000V Varaderoは、XLシリーズのフラッグシップモデルとして、1999年からヨーロッパ市場を中心に販売されました。日本国内での正規販売はありませんでした。VTR1000F譲りの996cc、V型2気筒エンジンを搭載。トルク重視のチューニングが施され、力強い走りを提供します。アフリカツインよりも大型のカウルを備え、長距離ツーリングに適した快適性を実現。しかし、その走りは舗装路を重視したセッティングとなっており、よりツーリング寄りの性格を持っています。

モデルはSD01型、SD02型、SD03型の3種類が存在します。

SD01型 (1999年-2002年): 初代モデル。丸みを帯びた特徴的なカウルとキャブレター式燃料供給、5速マニュアルトランスミッションが特徴です。初期は浜松製作所で生産されていましたが、2001年からはスペインのモンテッサ・ホンダへ生産拠点を移しました。
SD02型 ([2003年]]-2006年): 2代目モデル。カウルデザインの変更、燃料噴射装置]への変更、6速マニュアル[[トランスミッションへの変更など、大幅な改良が施されました。また、ABS搭載モデルもラインナップに加わりました。環境性能と燃費の向上が図られています。
* SD03型 (2007年-2010年): 3代目モデル。欧州の排出ガス規制Euro3への適合を主な目的としたモデルチェンジが行われました。メーターカウル、インナーカウル、テールランプ、シートなどが変更され、燃料警告灯点灯後の走行可能距離表示機能が追加されました。チョークレバーが廃止されたことも特徴です。2010年に生産が終了しました。

XL125V Varadero：エントリーモデルとしての魅力

XL125V Varadero（型式名JC32）は、ヨーロッパ市場向けに開発された125ccモデルです。多くのヨーロッパ諸国では、普通自動車免許で125ccクラスのバイクを運転できるため、高い人気を誇っていました。2001年からスペインのモンテッサ・ホンダで生産されました。

XL1000V Varaderoを彷彿とさせるデザインながら、より扱いやすい車体サイズと、経済的なエンジンが特徴です。水冷4ストローク[SOHC]] V型2気筒エンジンは、125ccクラスながら力強い走りを提供します。2007年にはEuro3対応のモデルチェンジを行い、[[燃料噴射装置]の採用、ジェネレーター出力の向上、燃料タンク容量の変更などが実施されました。しかし、2012年モデルをもって生産終了となりました。

まとめ：時代を彩ったVaraderoシリーズ

XL1000V VaraderoとXL125V Varaderoは、ホンダのアドベンチャーツーリングモデルの歴史において重要な位置を占めるモデルです。力強いエンジン、快適な走行性能、そして魅力的なデザインで、多くのライダーを魅了しました。これらのモデルは生産終了となりましたが、その存在感は今も多くのライダーの記憶に刻まれています。 現在では、VFR1200FやVFR1200X Crosstourerといったモデルが、その精神を受け継いでいると言えるでしょう。 また、同社の他のV型2気筒エンジン搭載デュアルパーパスモデルであるXLV750R、アフリカツイン、トランザルプといったモデルとの比較検討も、これらのモデルの歴史を理解する上で有益です。

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