ホンダ・Z

ホンダ Z（ゼット）

ホンダ・Zは、本田技研工業が手がけた軽自動車で、1970年から2002年までの長い期間にわたり、二代にわたって展開されました。このモデルは、その先進的なデザインと技術的革新により、多くの人々に愛されました。

初代 Z（1970-1974年）

初代Zは、1970年10月20日に発売され、NIII360をベースとしたスペシャルティカーとして登場しました。360ccエンジンを搭載し、クーペスタイルを意識したデザインは当時としては新鮮でした。定員は4名とし、居住性も確保されたことが特徴です。また、ホンダ車らしい飛行機を彷彿とさせる計器類の配置も印象的でした。シフトパターンやシフトノブ位置には、4速MTと5速MTで違いがありました。

デザイン面では、ルーフを後方まで延ばし、流麗な曲線を描くボディが特長でした。特に、後部のガラスハッチとその黒くて厚い樹脂製枠が「水中メガネ」という愛称で親しまれました。

この世代のZは、N360と基本的なエンジンを共有しており、モデルによって異なる最高出力を持つエンジンが用意されていました。発売当初の価格は「ACT」で34万8,000円でしたが、年々さまざまなグレードが追加され、市場に応じたバリエーションが展開されました。

2代目 Z（1998-2002年）

2代目Zは1998年10月9日に発売され、SUVスタイルを持つ4WD車として新たな展開を見せました。基本設計にはアクティの構造が取り入れられ、ミッドシップエンジンを搭載する新機構「UM-4」が導入されました。この設計により、軽自動車でありながら当時の衝突安全基準を大幅にクリアすることができました。

製品名には「K・ムーバー」が使用され、CMではZZトップが起用されるなど、当時の若者たちにアピールする戦略が展開されました。ミッドシップエンジンにより室内長も拡張され、居住性が向上したことは大きな特徴です。しかし、3ドアという形状や高めの価格が影響し、販売は不振に終わりました。

エンジンスペック

初代 Z

• - N360E型:

- 排気量: 354cc
- 最高出力: 31PS (シングルキャブ) / 36PS (ツインキャブ)

2代目 Z

• - E07Z型:

- 排気量: 656cc
- 最高出力: 52PS

このように、ホンダZはシンプルなデザインから始まり、次第に技術を取り入れて進化を続けました。その結果、初代では個性的なスタイリングが人気を博し、2代目では機能性と安全性の両立が評価されました。このモデルは、ホンダの軽自動車の中でも特に記憶に残る存在であり、多くのファンに愛され続けています。

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