ホーコン7世

ホーコン7世：ノルウェー独立と戦時下のリーダーシップ

ホーコン7世は、1905年から1957年までノルウェー国王として君臨した人物です。デンマーク国王フレデリク8世と、スウェーデン＝ノルウェー国王カール15世の娘であるロヴィーサとの間に生まれた次男であり、兄はデンマーク王クリスチャン10世でした。元々はクリスチャン・フレゼリクと名付けられ、カール王子と呼ばれていました。

1905年、ノルウェーはスウェーデンとの同君連合を解消し、独立を達成します。この際に、ホーコン7世は、大叔父にあたるスウェーデン＝ノルウェー国王オスカル2世の後継として、ノルウェー国王に選ばれました。彼はノルウェーゆかりの名である「ホーコン」を名乗り、首都クリスチャニア（現在のオスロ）で即位式を執り行いました。

第二次世界大戦の勃発とともに、1940年4月9日、ドイツ軍はデンマークとノルウェーに侵攻を開始します（ヴェーザー演習作戦）。デンマークがすぐに降伏する中、ノルウェーは激しい戦闘に巻き込まれました。ホーコン7世とノルウェー政府は、首都オスロを放棄し、各地を転々とすることになります。

この混乱の中、親ドイツ派のファシスト政党・国民連合の党首クヴィスリングは、ノルウェー政府の無効を宣言し、自ら政権を樹立することを宣言しました。ドイツはホーコン7世にオスロへの帰還とクヴィスリング政権の承認を強く求めましたが、国王はこれを断固として拒否しました。

その後、1940年6月9日、ホーコン7世は全ノルウェー軍に対してドイツへの降伏を宣言しました。しかし、王室と政府はイギリス軍艦でノルウェーを脱出し、イギリスのロンドンで亡命政府を樹立しました。

ドイツ占領下のノルウェーでは、厳しい統治が敷かれましたが、ホーコン7世はロンドンからラジオ放送や新聞を通じて、絶え間なくノルウェー国民を鼓舞し続けました。その強いリーダーシップは、国民に大きな勇気を与え、絶大な尊敬を集めました。

1945年5月8日、ドイツが連合国に降伏すると、5月13日に王太子オーラヴがオスロに帰還。そして、亡命からちょうど5年後の6月7日、ホーコン7世はノルウェーに帰国し、国民から熱狂的な歓迎を受けました。

在位中は、国民の尊敬を集め、ノルウェーの独立と発展に貢献しました。1955年には、ノルディックスキーへの貢献を認められ、「ホルメンコーレン・メダル」を受賞しています。1957年9月21日、ホーコン7世は永眠しました。

家族

王妃はイギリス国王エドワード7世の三女モードであり、息子は後のオーラヴ5世です。オーラヴ5世は、アムステルダムオリンピックで金メダルを獲得したことで知られています。

日本との関わり

1909年、日本陸軍の冬季軍事訓練における遭難事故（八甲田雪中行軍遭難事件）を耳にしたホーコン7世は、ノルウェーのスキー板が役立ったのではないかという考えから、明治天皇にスキー板2台を贈呈しました。この出来事がきっかけとなり、日本とノルウェーのスキー交流が始まりました。

ホーコン7世は、ノルウェーの独立と発展に大きく貢献しただけでなく、第二次世界大戦下の困難な状況においても、国民の希望の灯となり続けました。彼の在位は、ノルウェーの歴史において重要な時代を象徴するものです。

もう一度検索