ホースラディッシュ

セイヨウワサビ（ホースラディッシュ）：強い辛味と生命力を持つアブラナ科植物

セイヨウワサビ、学名 Armoracia rusticana は、アブラナ科に属する耐寒性の多年草です。和名はセイヨウワサビ（西洋山葵）で、英語名のhorseradishはhorse（馬）とradish（ダイコン）を組み合わせたものです。かつてはhorseが「強い」「大きい」「粗い」といった意味で用いられていたため、この名前が付けられたと考えられています。別名にはワサビダイコン、レフォール（フランス名由来）、ウマワサビ、ウマダイコンなどがあります。また、商品名として「山わさび」と呼ばれることもあります。

特徴

原産地はフィンランドや東ヨーロッパです。特徴的なのは、長さ60センチほどにもなる明るい緑色の大きな葉で、先端が尖っています。現在、世界需要の80％をアメリカ合衆国イリノイ州が生産しており、コモンタイプとボヘミアンタイプの2品種が知られています。

根を乾燥させて粉末にしたものは、粉ワサビやチューブ入りの練りワサビの原料として用いられます。本ワサビと混ぜて用いられることもあります。セイヨウワサビの辛味成分は、カラシと同様に配糖体として存在しており、すりおろすことで酵素の作用により辛味と香りが発現します。生化学実験においては、セイヨウワサビ由来の酵素ペルオキシダーゼが広く利用されています。

食用

白色の根には強い辛味があり、すりおろして薬味として用いられます。特にローストビーフとの相性が良く、欠かせないものとなっています。また、北海道ではすりおろしたものを醤油とご飯と一緒に食べる習慣があり、道産山わさびを使ったカップラーメンも販売されています。ブリの刺身の薬味としても用いられますが、ワサビやカラシと同様に、すりおろしたものを長時間置いておくと辛味成分が揮発するため、早めに食べるのがおすすめです。

粉ワサビやチューブ入りの練りワサビなど、ワサビ加工品においては、本物のワサビの代用品としてセイヨウワサビが原材料として用いられることが多いです。

栽培

セイヨウワサビの栽培は非常に容易です。生命力が強く、根の断片を土中に埋めるだけで容易に発芽し、収穫時に取り残されたり、分断された根からも増えます。キャベツと同じアブラナ科の植物であるため、モンシロチョウの幼虫（青虫）に葉を食害されることがあります。また、様々な昆虫に好まれ、葉が食い尽くされることもありますが、通常は枯死することはありません。

関連項目

* ワサビ（本ワサビ）：日本原産で、英語ではJapanese horseradishと呼ばれます。

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