ホーボージュン

日本のフリーライター、ホーボージュン氏について解説します。

人物と活動

1963年、東京都杉並区に生まれた斎藤潤（さいとうじゅん）氏は、「ホーボージュン」というペンネームで知られています。このペンネームは、英語で「放浪者」を意味するHOBOに由来し、本人が「ほうぼう（方々）に行く」という自身の旅のスタイルを表現したものと説明しています。

彼の活動の中心は、冒険、放浪、アウトドアをテーマにしたルポルタージュです。これまでに取材と撮影のために、世界108カ国、距離にして13万5000キロにも及ぶ壮大な旅を続けてきました。その経験は、現在も『PEAKS』、『BE-PAL』、『山と渓谷』、『フィールドライフ』といった主要なアウトドア雑誌での連載記事として発表されています。

また、旅やアウトドアの経験を活かした独自ブランド「HOBO WORKS」も手掛けています。

家族には1歳下の妹と7歳下の弟がおり、二人ともデザイナーです。特に弟の徹氏は、アウトドアブランド「パーゴワークス」の代表を務めています。

取得資格

普通免許
二輪大型免許
FIA国際C級サーキットライセンス
日本赤十字社水安法救助員（ライフガード）

主な経歴

ホーボージュン氏のライターとしてのキャリアは、大学時代に始まります。熱狂的なオートバイ乗りだった彼は、1987年にパリ〜ダカールラリーに憧れ、学生記者としてパリでのスタートを取材しました。この記事が雑誌に掲載され、ライターデビューを果たします。

1988年から1989年にかけては、TBSテレビの大型企画『キャラバン2』でメインドライバーに抜擢され、約400日間をかけてユーラシア大陸を横断。ポルトガルから韓国までの14カ国、約1万4000キロを特別仕様車で走破した経験は、1年半にわたる番組として放映されました。

その後も大規模な海外取材に参加します。1990年にはNHKテレビの番組クルーとして南米大陸のラリーに同行し、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンの4カ国、約1万6000キロを取材。1992年には同じくNHKのクルーとしてパリ〜モスクワ〜北京マラソンレイドに参加し、シルクロード沿いの砂漠を含む約1万6000キロを走破・撮影しました。

パリ〜ダカールラリーにはプレスドライバーとして複数回参加し、サハラ砂漠やアフリカ大陸を縦断。1994年には日産のプライベートチームから市販車無改造クラスに初参戦し、過酷なコースを完走（総合53位）する偉業を成し遂げました。1996年にはナビゲーターとしても参戦し、新型テラノでの完走に貢献しました。

この時期から、人力によるアドベンチャーにも積極的に挑戦します。トライアスロン、山岳レース、遠泳レース、MTB耐久レースなどに参加し、特にトライアスロンの「ジャパンカップ佐渡大会」や山岳レースの「長谷川恒男カップ」では複数回完走を果たし、「アイアンマン」の称号も手にしています。

1998年からの南米大陸縦断（赤道からマゼラン海峡まで）のMTB旅は、彼のキャリアにおいて重要な転機となりました。ヒッチハイクや輪行も交えながら8ヶ月かけて約8000キロを旅したこの経験は、アウトドア雑誌に「ホーボーデイズ」として連載され、大きな人気を博します。ちなみに、この連載から「ホーボージュン」のペンネームを本格的に使用し始めました。これは、当時、紀行作家に同姓同名の斎藤潤氏、オートバイ小説家に斎藤純氏がおり、しばしば混同されたことが一因となっています。

2000年には、沖縄の伝統的な帆船「サバニ」による「サバニ帆漕レース」に初出場し、優勝。その後も連続して出場し、上位入賞を重ねました。また、シーカヤックを使った沖縄〜奄美大島間の海峡横断にも成功しています。

2003年にC型肝炎に罹患し、慢性肝炎を発病していることを知ります。当時のC型肝炎は治療が困難な「不治の病」とされており、家族にも病気を伏せて闘病生活に入りました。特に2005年からのインターフェロン治療は副作用が強く、全身の痛みや鬱、脱毛に苦しみ、一時は自力で歩くこともままならない状態でした。しかし、この時期に飼い始めた仔犬「ラナ」（アニメ『未来少年コナン』のヒロインにちなんで命名）の世話をすることで、生きる希望を見出し、闘病を乗り越えていきます。2006年にはサバニでの沖縄〜奄美大島間海峡横断航海に再挑戦し、成功しました。

病からの回復後も精力的に活動を続け、南米パタゴニアの世界最南端のトレイル単独踏破、セーリングカヤックでの九州〜沖縄間航海など、様々な冒険に挑みます。特に2008年から約10年にわたって続いた『FieldLife』でのシーカヤックツーリング連載「パドリング・ホーボー」では、北海道から沖縄まで日本の海岸線を旅し、海洋航海紀行として高い評価を得ました。

東日本大震災発生時には現地でボランティア活動を行い、その経験から脱原発や自然エネルギーの活用を提唱するようになります。また、22年間続いた『モノマガジン』での連載「実戦主義道具学」を200回で完結させ、最後の道具として「手」を取り上げたことは話題となりました。

近年も国内外での旅や取材を続け、馬でのワイルドウェスト探検、北極圏トレッキング、アジア各国のバックパッキングなど、活動の幅を広げています。2020年には自身がデザインしたソロテント「ホーボーズネスト2」がグッドデザイン賞を受賞するなど、デザイナーとしても評価を受けています。

著作

書籍

『四国お遍路バックパッキング』（小学館、2003年）
『実戦主義道具学』（ワールドフォトプレス、2004年）
『実戦主義道具学2』（ワールドフォトプレス、2010年）
『山岳装備大全』（山と渓谷社、2010年、共著：村石太郎）

雑誌連載（一部）

『Walk on the WILDSIDE』（FieldLife）
『GRAGE VERSUS』（BE-PAL）
『GTR』（山と渓谷）

外部リンク

Akimama（アキママ）

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