ホームタウナーズ・イン・グアム

『ホームタウナーズ・イン・グアム』

日本のカントリー・ミュージック界で知られるバンド、ホームタウナーズが発表したアルバム『ホームタウナーズ・イン・グアム』は、彼らのライブパフォーマンスを記録した貴重な作品です。具体的には、1970年11月21日にグアム島で行われた公演の模様が収められています。このライブアルバムは、彼らの当時の勢いや、観客との一体感、そして演奏の魅力を伝える内容となっています。

この作品は1971年に世に送り出されました。日本国内では、日本ビクターが展開していたサブレーベルの一つであるグリーン・シティーからリリースされています。一方、アメリカ合衆国においてもこのライブ音源は紹介されており、その際には『I Wanna Go Stateside』という異なるアルバムタイトルが冠されました。これは収録曲の一つと同名であり、アメリカ市場を意識したタイトル変更だったと考えられます。日本とアメリカでタイトルが異なる点も、このアルバムの興味深い特徴の一つと言えるでしょう。

ライブアルバムならではの臨場感が伝わる本作には、当時のホームタウナーズの主要なレパートリーが収められています。Side 1は、ライブの始まりを告げるMCからスタートし、観客の期待感を高めます。「I Wanna Go Stateside」をはじめ、「King of the Road」、「Is Anybody Going to San Antone」、「Cotton Fields」といったカントリーミュージックの定番曲や人気曲が並びます。また、「Silver Wing / Mama Tried」や「Folsom Prison Blues / Cocain Blues」のようなメドレー形式の演奏も収録されており、ライブならではのアレンジや演奏力の高さが伺えます。

収録曲は以下の通りです。

Side 1

Opening MC
I Wanna Go Stateside
King of the Road
Is Anybody Going to San Antone
Medley: Silver Wing / Mama Tried
Cotton Fields
Colombus Stockade Blues

Side 2

Proud Mary
Orange Blossom Special
Six Days on the Road
Okie from Muskogee
Medley: Folsom Prison Blues / Cocain Blues
Memphis Tennessee

このアルバムの制作には、バンドメンバーだけでなく、優れた技術を持つスタッフが参加しています。ホームタウナーズのメンバーは以下の通りです。

鈴木恒雄：エレクトリック・ギター、フィドルを担当。バンドのサウンドの中核を担っています。
稲吉薫：エレクトリック・ギターを担当。鋭いプレイで楽曲を彩ります。
松平直久：スティール・ギターを担当。カントリーミュージックに欠かせない特徴的な音色を生み出します。
松野浩三：ベースを担当。サンシャイン松野としても知られるベーシストです。
青木孝義：ドラムスを担当。安定したリズムでバンドを支えます。
杉はじめ：ボーカルを担当。アメリカ盤ではJohnny Nocash名義でクレジットされています。
三田ひろし：ボーカルを担当。アメリカ盤ではJohnny Sanda名義でクレジットされています。

メンバーの中でも、ボーカルの杉はじめ氏と三田ひろし氏が、アメリカ盤ではそれぞれJohnny Nocash、Johnny Sandaというユニークな別名義を使用している点は特筆されます。これは、おそらくアメリカでのリリースに際して、より親しみやすい、あるいはカントリーミュージックのイメージに合った名義としたものと考えられます。

また、このアルバムのプロデューサーはKatsuo Tanaka氏、エンジニアはYoshio Sakamoto氏が務めました。彼らの尽力によって、1970年11月21日のグアム公演の熱気あふれる演奏が、ライブアルバムとして高品質な音源で再現されています。

『ホームタウナーズ・イン・グアム』は、単なるライブ記録に留まらず、当時の日本のカントリーバンドが海外でどのような活動を行い、それがどのように記録・発表されたのかを示す貴重な資料とも言えます。ライブならではの勢い、観客とのやり取り、そしてメンバーの確かな演奏力が詰め込まれた本作は、ホームタウナーズのファンはもちろん、日本のカントリーミュージック史に関心を持つ人々にとっても聴きごたえのある一枚です。このアルバムの詳細は、主に当時のライナーノーツから得られた情報に基づいています。

もう一度検索