ホームディレクトリ

ホームディレクトリとは

ホームディレクトリは、マルチユーザーシステムにおいて、各ユーザーが個別に利用できるディレクトリのことです。ユーザーがシステムにログインした際に、最初にアクセスするディレクトリ（カレントワーキングディレクトリ）として機能します。このディレクトリは、ユーザーが作成したファイルやプログラム、独自の環境設定などを保存するために使用されます。

UNIX/Unix系OSにおけるホームディレクトリ

UNIXおよびUnix系OS（Linux、macOSなど）では、ホームディレクトリはユーザーが自由にファイルやディレクトリを作成・保存できる場所です。システムの設定ファイルである`/etc/passwd`に、各ユーザーのホームディレクトリの場所が記録されています。

一般的なホームディレクトリの場所は以下の通りです。

• - `/home/username`: 多くのUNIX系OSやLinuxディストリビューションで採用される標準的な位置です。FHS（Filesystem Hierarchy Standard）で規定されています。
• - `/export/home/username`: Solarisで使われることがあります。
• - `/Users/username`: macOS、NEXTSTEP、OPENSTEPなどで使用されます。
• - `/usr/username`: 初期のUNIXで使われていました。`/usr`はユーザーファイルシステムを意味します。

また、スーパーユーザー（root）のホームディレクトリは、通常`/`や`/root`に設定されます。これは、rootユーザーのホームディレクトリがルートファイルシステムに配置されるためです。

ホームディレクトリの位置情報は、環境変数`HOME`に設定されており、多くのプログラムはこの環境変数を参照します。また、シェルでは`~`記号でホームディレクトリを表すことができます。`cd`コマンドを引数なしで実行すると、ホームディレクトリへ移動できます。

Windowsにおけるホームディレクトリ

Windowsでは、Windows 95 OSR2以降でホームディレクトリに相当する概念が導入されました。ただし、WindowsではUNIX系OSとは異なり、ユーザーのドキュメントや設定ファイルだけでなく、プログラムの設定情報なども同じ場所に格納されるようになりました。

Windowsにおけるホームディレクトリの場所は、バージョンによって異なります。

• - `C:\My Documents`: Windows 95 OSR2, Windows 98（シングルユーザーの場合）
• - `C:\Windows`: レジストリやプログラム設定が格納される場所。Windows 95 OSR2, Windows 98（シングルユーザーの場合）
• - `C:\Windows\Profiles\ユーザー名`: Windows 95 OSR2, Windows 98（マルチユーザーの場合）
• - `C:\WINNT\Profiles\ユーザー名`: Windows NT
• - `C:\Documents and Settings\ユーザー名`: Windows 2000, Windows XP, Windows Server 2003
• - `C:\Users\ユーザー名`: Windows Vista, Windows 7, Windows 8, Windows 8.1, Windows 10

その他のOSにおけるホームディレクトリ

BeOS系列のOSであるHaikuでは、`/boot/home`が「ホームフォルダ」として使用されています。このディレクトリには、デスクトップ設定やメールなど、ユーザー固有のデータが保存されます。Haikuは現在開発中のため、複数ユーザーでの利用には対応していませんが、将来的なマルチユーザー対応を見据えて、ユーザーごとに情報を保存する設計となっています。

まとめ

ホームディレクトリは、マルチユーザー環境におけるユーザーの作業領域であり、個人のファイルや設定を保存する重要な場所です。OSによってディレクトリの場所は異なりますが、ユーザーがシステムを利用する上で欠かせない概念となっています。

関連事項

• - `cd`コマンド

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