ホーランド・アメリカライン

ホーランド・アメリカライン（HAL）

ホーランド・アメリカライン（Holland America Line、HAL）は、アメリカ・シアトルに本拠を置くクルーズ会社です。アラスカ全土でホテル業を営むウエストマーク・ホテルズを傘下に持ち、アラスカ鉄道に自社の展望車を連結するなど、アラスカの観光業界において大きな存在感を示しています。

歴史

1871年2月8日、ロッテルダムでプラッテ・ロイヒリン合資会社として設立されたのが始まりです。1873年4月18日には、アメリカとヨーロッパを結ぶ海運会社、ネーデルランス・アメリカーンス・ストームファールト・マーツファッペイ（NASM）が設立され、この日が公式な設立日となっています。ホーランド・アメリカラインという名称は設立当時から使用されていましたが、社名となったのは1896年のことでした。

かつてはオランダとオランダ領東インドを結ぶ航路や、大陸間の輸送で多くの人や物を運びました。しかし、移動手段が客船から飛行機へと変化したため、海運会社からクルーズ会社へと転身。1989年にカーニバル・コーポレーションの子会社となり、現在に至ります。

新型コロナウイルスの影響

2020年3月、ホーランド・アメリカラインが所有する「ザーンダム」船内で新型コロナウイルスの感染が拡大しました。同船はチリ沖合からフロリダ州を目指しましたが、パナマ当局からパナマ運河の通航を拒否され、困難な状況に陥りました。その後、パナマ政府が人道的判断から通行を許可し、フロリダ州へ向かうことができました。

また、同社のFacebookおよび親会社のカーニバル・コーポレーション上で、同社保有の船体のうち4隻が2020年内に売却されることが発表され、これにより同社から総重量5万トン以下の船舶が姿を消すこととなりました。

ブランドの特徴

HALのランクはプレミアムで、ラグジュアリーほどではありませんが、格調高い雰囲気が特徴です。そのため、ドレスコードもカジュアルよりインフォーマルの日が多い傾向にあります。

以前に使用した船名を後継船に受け継がせる点や、他のオペレーターがブランドと船名を明確に区別するのに対し、「○○ダム」というように融合させている点など、歴史や伝統を重んじる姿勢が特徴的です。船体は白と濃紺に塗り分けられ、船内はアンティークや美術品で装飾されており、古き良き時代の客船を彷彿とさせます。また、アメリカ系の会社でありながら、キャビンスチュワードを旧オランダ領のインドネシア系に限定するなど、オランダとの繋がりを大切にしています。

活動エリアは世界中に広がり、ベストシーズンなエリアをローテーションで巡ります。特にアラスカ方面に強いのが特徴です。

客船の特徴

2020年現在、6万トン級のロッテルダム級と8万トン級のザイデルダム級、ユーロダム級が在籍しており、2016年には同社初となる10万トン級の船体が就航しています。

1週間以上の長い日程でクルーズを行うため、乗客数を控えめに抑え、居住性を重視した造りになっています。プールにはスライディングルーフが設置され、どの地域でもスイミングを楽しめるようになっています。スタンダードの客室面積が広く、他のブランドではミニスイート以上にしか設置されないバスタブが、HALではアウトサイドの客室にも設置されていることが多いです。

一方で、ブランドを大切にするあまり、どの船も内装が似通ったものになる傾向があり、船ごとの個性に欠けるという声もあります。

その他

クローズ・ネスト

「鴉の寝床」を意味し、船の前方にある見張り台のこと。HALではフォワード・ラウンジの名称として使用されています。

エクスプローラー・ラウンジ

低階層に位置する小規模なラウンジ。ロイヤルダッチティーが行われる場所です。

現在の船隊

ピナクル・クラス（総トン数 99,500トン)
ロッテルダム
コーニングスダム
ニュー・スタテンダム
シグネチャー・クラス（総トン数 86,273トン）
ユーロダム
ニュー・アムステルダム
ビスタ・クラス（総トン数 82,305トン）
ザイデルダム
オーステルダム
ウエステルダム
ノールダム
Rクラス（総トン数 59,652トン）
フォーレンダム（総トン数 60,906トン）
ザーンダム

関連項目

クルーズ客船
カーニバル・コーポレーション

外部リンク

HALオフィシャルサイト
* HAL日本語サイト

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