ホーリー・モーゼス

ホーリー・モーゼス (Holy Moses)

ホーリー・モーゼスは、1980年代に結成されたドイツ出身のスラッシュメタルバンドです。このバンドは、デスヴォイスを持つ女性ボーカリスト、サビーナ・クラッセンを擁し、当時としては非常に珍しい存在でした。彼女の力強いパフォーマンスは、バンドのアイデンティティの一部となり、スラッシュメタルシーンにおける重要な位置を占めることになりました。

バンドの設立と初期の活動

ホーリー・モーゼスは、1979年に高校生のラモン・ブリュッセラーを中心に結成されました。メンバーは徐々に変わりながらも、1982年にはギターのアンディ・クラッセンとボーカルのサビーナ・ヒルツが加わり、バンドとしての体制が整いました。この新しいラインナップで本格的なライブ活動を始め、デモテープを制作し続けた結果、音楽エンジニアのラルフ・ヒューベルトに見出され、1986年にはレーベル「AAARRG」からデビューアルバムをリリースします。

しかし、その直後に唯一のオリジナルメンバーだったラモンが脱退し、アンディとサビーナの夫妻が中心となってバンドを運営することになります。

認知度の向上と最盛期

1988年、サビーナはテレビ番組のMCに抜擢され、翌年にはメジャーレーベル「WEAインターナショナル」と契約を結ぶなど、ホーリー・モーゼスはメタルの波に乗り込みます。この時期、メンバーの入れ替わりが続く中で、サビーナとアンディはバンドを支える存在となり、バンドの名声を高めていきました。

しかし、1992年のアルバム『Reborn Dogs』のリリース後、サビーナはアンディと離婚し、バンドと距離を置くようになるため、最終的には1994年に解散が決定されます。

再結成と新たな挑戦

ホーリー・モーゼスは2000年にサビーナによる再始動が計画され、EP『Master of Disaster』をリリース。その後フルアルバム『Disorder of the Order』で完全復活を果たします。再結成後も彼らは精力的にアルバムをリリースし、2014年には30周年を記念したアルバム『Redefined Mayhem』を発表しました。サビーナは、そのユニークなボーカルスタイルで女性デスヴォイスのレジェンドとして多くのファンから尊敬されています。

最終作と解散

2023年、バンドは最後のアルバム『インヴィジブル・クイーン』をリリースし、収録曲には旧知のゲストミュージシャンが多く参加しました。このアルバムのリリースをもって、サビーナ・クラッセンはバンドの解散と自身の引退を発表し、約40年にわたる活動に幕を下ろしました。

サウンドと影響

ホーリー・モーゼスの音楽は、スラッシュメタルの特徴を持ちながらも、特にサビーナのデスヴォイスが大きな特徴で、他のバンドとは一線を画す存在感を持っていました。この独自のスタイルは、多くのアーティストに影響を与え、女性ボーカリストがメタルシーンにおいて重要な役割を果たす道を拓きました。

来日公演

ホーリー・モーゼスは2009年に初来日し、ライブ活動を通じて日本のファンとも交流を持ちました。また、彼らの音楽は、いまだに多くのメタルファンに愛され続けています。ホーリー・モーゼスの物語は、スラッシュメタルの歴史の中で長く記憶されることでしょう。

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