ボイラー溶接士

ボイラー溶接士とは

ボイラー溶接士は、労働安全衛生法によって定められた国家資格の一つです。この資格は、ボイラーや第一種圧力容器の溶接作業を行うために必要とされ、ボイラー溶接士免許試験に合格し、免許の交付を受けた者がこの資格を有します。

概要

労働安全衛生法第61条では、特定の業務について、都道府県労働局長の免許を受けた者や技能講習を修了した者など、一定の資格を持つ者でなければ業務に就かせてはならないと規定しています。ボイラー溶接は、この就業制限の対象となる業務の一つです。

労働安全衛生法施行令第20条第4号では、ボイラーや第一種圧力容器の溶接作業（自動溶接機による溶接、特定の管の周継手の溶接、圧縮応力以外の応力が生じない部分の溶接を除く）について就業制限が設けられています。この業務には、労働安全衛生施行規則に基づき、特別ボイラー溶接士免許または普通ボイラー溶接士免許のいずれかが必要です。

資格の種類

ボイラー溶接士の資格には、以下の2種類があります。

1. 特別ボイラー溶接士：ボイラー（小型ボイラーを除く）または第一種圧力容器（小型圧力容器を除く）の溶接作業全般（一部例外あり）を行うことができます。
2. 普通ボイラー溶接士：ボイラーや第一種圧力容器の溶接作業のうち、溶接部の厚さが25mm以下の場合や、管台、フランジなどを取り付ける場合の溶接作業を行うことができます。

有効期限と更新

ボイラー溶接士の免許には2年の有効期限があります。これは、溶接作業に従事していない場合、必要な技能の維持が難しいためです。免許を継続するためには、定期的な更新手続きが必要です。

他資格との関係

特別ボイラー溶接士の資格を持つ者は、職業訓練指導員（溶接科）免許試験において、受験資格を得られるだけでなく、実技試験と一部の学科試験が免除されます。一方、普通ボイラー溶接士は、同試験の受験資格のみを得ることができます。

免許試験

ボイラー溶接士の免許試験は、学科試験と実技試験で構成されています。
学科試験は年2回、全国の安全衛生技術センターで実施されます。学科試験の合格者に対して、約1か月後に実技試験が実施されます。

受験資格

各資格の受験資格は以下の通りです。

特別ボイラー溶接士
学科：普通ボイラー溶接士免許取得後、1年以上のボイラーまたは第一種圧力容器の溶接作業経験（ガス溶接、自動溶接を除く）が必要です。
実技：学科試験合格者または学科試験が免除される者に限られます。
普通ボイラー溶接士
学科：1年以上の溶接作業経験（ガス溶接、自動溶接を除く）が必要です。
実技：学科試験合格者または学科試験が免除される者に限られます。

試験科目

各試験の科目は以下の通りです。

特別ボイラー溶接士
学科（40問、150分）：
ボイラーの構造及び材料に関する知識
ボイラーの工作及び修繕方法に関する知識
溶接施行方法の概要に関する知識
溶接棒及び溶接部の性質に関する知識
溶接部の検査方法に関する知識
溶接機器の取扱方法に関する知識
溶接作業の安全に関する知識
関係法令
実技（1本、60分）：被覆アーク溶接（横向き突合せ溶接）
普通ボイラー溶接士
学科（40問、150分）：
ボイラーの構造及び材料に関する知識
ボイラーの工作及び修繕方法に関する知識
溶接施行方法の概要に関する知識
溶接棒及び溶接部の性質に関する知識
溶接部の検査方法に関する知識
溶接機器の取扱方法に関する知識
溶接作業の安全に関する知識
関係法令
実技（2本、60分）：被覆アーク溶接（下向き突合せ溶接と立向き突合せ溶接）

近年の試験実施状況

（具体的な試験実施状況は、関連団体にお問い合わせください。）

外部リンク

公益財団法人安全衛生技術試験協会
一般社団法人日本ボイラ協会


この資格は、ボイラーや圧力容器の安全な運用に不可欠であり、溶接技術者の専門性を証明する重要なものとなっています。

もう一度検索