ボクは五才

『ボクは五才』

『ボクは五才』は1970年に公開された日本映画で、大映が製作を行いました。この作品は、高知に住む5歳の男の子が、大阪で働く父親に会うために無銭旅行を試みる物語です。また、映画のナレーションによれば、この話は実際にあったエピソードに基づいています。

あらすじ

物語の主人公、奥村太郎は幼稚園に通っている5歳の子供です。彼は母親を失い、祖父母や叔父、叔母とともに大きな大家族で生活しています。普段はしっかり者の太郎ですが、やはり父親の存在が恋しく感じます。ある日、幼稚園の友人が大阪万博に行ったことを聞き、太郎の心の中に父親に会いたいという気持ちが高まります。

太郎は遂に家を出る決意をしますが、最初の試みは失敗に終わります。幼稚園をさぼった際にタバコ屋のお民に見つかり、連れ戻されます。さらに電車に乗ろうとしたところでもお民に見つかり、三度目の挑戦でようやく電車に乗ることに成功するのですが、高知駅で待ち構える大人たちに発見され、またもや連れ戻されてしまいます。

連れ戻される最中、祖父の安衛門は太郎に父に手紙を書くと約束し、太郎はその返事を待ち望みます。しかし、手紙が届くと太郎は字が読めず、周囲の大人に読んでもらおうとしますが、誰もまともに読んでくれません。困っていたところで出会った見知らぬ学生に手紙を読んでもらい、父がしばらく帰れないことを知ります。これにより、太郎は「大人を信じない」と決心することになります。

太郎の家族は彼がまた家出をするのではないかと心配し、周囲の大人に彼を見つけるよう協力を求めます。太郎はその包囲網を掻い潜り、日曜日の早朝に再度家出を決行します。彼は父と幼い頃に描いたスケッチブックを持って出発します。

家族が太郎を必死に捜索する中、彼はあらゆる手段を使って移動を続けます。トラックに乗せてもらったり、バスに乗ったりする過程で、彼は様々な人々との出会いを経験します。特に印象的なのは、バスでの出来事です。弁当を配る際に不審に思ったバスガイドが運転手と相談し、太郎の行動を警戒します。しかし、太郎は危うくその場を逃すことができました。

高知駅に着くと、すでに太郎の家出の情報が広まり、鉄道で大阪へ行く計画は断念します。その後、彼は高松駅に向かうバスに乗り込みます。バスを降りた後は、川下りの船に潜り込むなどして目的地に近づこうと奮闘します。しかし、合間に大人たちの目に触れ、またしても危機に陥ります。

無事に高松港にたどり着いた太郎ですが、スケッチブックを高松港に置いてきたことに気づいてしまいます。引き返すことになるものの、安衛門夫妻も太郎を探し続けており、彼らと再会する奇跡は待ち構えていました。

やがて、太郎は大阪駅に到着し、いくつもの道を辿った末に父親のアパートに辿り着きます。しかし安二郎はすでに引っ越しており、消息が分かりません。そんな中、偶然にも父親と再会することになりますが、太郎は父に対する複雑な思いを抱いています。

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