大映

大映株式会社の歴史

大映株式会社は、日本の映画界で重要な存在であり、二度にわたる法人設立を経て1942年から1971年、さらに1974年から2003年まで、多彩な映画を制作してきました。まず、1942年に設立された大日本映画製作株式会社は、戦時中の企業統合の結果誕生しました。これに続いて、1974年には、徳間書店の子会社として大映映画株式会社が設立され、映画事業を再スタートさせました。

沿革と幕明け

大映の起源は、1942年の日本における戦時統合に遡ります。新興キネマや大都映画、日活製作部門が統合され、永田雅一をはじめとする多くの役員が発起人として関与しました。この結果、大日本映画製作株式会社が誕生し、松竹や東宝との3社体制が確立されました。この新体制下で、映画業界は整理統合され、製作本数は減少したものの、大映は日本映画界に新風を吹き込みました。

また、1943年には初代社長に作家の菊池寛が就任し、新たな映画制作の方向性が打ち出されました。戦後、大映は日活との関係を断つ一方で、新たなスターを育成し、さまざまなジャンルの映画を制作していきます。

繁栄と挑戦

1950年代には、大映は多くのヒット作を生み出し、特に「悪名シリーズ」や「母物シリーズ」は観客に支持されました。さらに、『羅生門』が国際的にも評価され、アカデミー賞を受賞してからは、海外市場への進出も果たします。しかし、経営面では内部での対立や旧体制からの転換が進まず、スターシステムの崩壊が始まりました。

1960年代に入ると、特撮系の映画や時代劇の需要が変化し、大映はそれに応じる必要がありました。特に、「大怪獣ガメラ」や他社にはない特撮作品がファミリー層を中心に支持を集め、興行成績の回復に寄与します。

経営の曲折

1970年代に入ると、大映は経営難に直面します。特に映画制作の収益が減少し、社内の人員流出や制作体制の崩壊が進む中で、社長であった永田雅一が経営立て直しに奮闘しましたが、時すでに遅しでした。映画興行統合後、日活と提携し新会社を設立しますが、映画の制作及び配給部門も次々に再編成されることとなります。

1971年には経営危機を乗り越えようと試みるも、遂に業務全面停止に至り、1972年に破産宣告を受け、長年の運営に幕を下ろします。その後、徳間書店が新たに大映映画株式会社を設立し、再建を図るも、さまざまな試行錯誤が続いていきます。

大映の終焉とその影響

2003年に法人は解散し、60年の歴史に幕を下ろしました。大映の遺産は、その作品群や映画制作の手法に表れ、後の日本映画界に多大な影響を与えました。大映時代から続く多くの作品は、今なお愛されており、その影響は新たな世代のクリエイターにも色濃く残っています。

大映株式会社は、戦後日本の映画界における黄金時代を支え、その繁栄と衰退を通じて、映画というメディアの進化に寄与しました。その歴史は、多くの映画ファンや文化愛好者にとって、忘れがたい年代の一部といえるでしょう。

もう一度検索