ボツリオコッカス・ブラウニー

ボツリオコッカス・ブラウニーについて

ボツリオコッカス・ブラウニー（学名：Botryococcus braunii）は、炭化水素を生み出す能力で注目を集めている緑藻の一種です。この藻類は主に光合成を通じて、ボトリオコッセンという炭化水素を生成します。しかし、ボツリオコッカス属には複数の種があり、その分類はまだ完全には解明されていないため、研究者の間で意見が分かれることもあります。

開発と実用化の進展

ボツリオコッカス・ブラウニーの実用化に向けた動きは、近年非常に活発です。2015年6月、神戸大学、株式会社IHI、ちとせ研究所の3法人は協力し、鹿児島県の七ツ島で 1,500平方メートルの屋外大規模培養設備を設立しました。このプロジェクトにより、高速増殖型ボツリオコッカスの野外培養が成功し、その後の研究や開発の基盤が築かれました。

さらに、2017年11月には、タイに 10,000平方メートルのプラントが設置され、育てたボツリオコッカス・ブラウニーから油を抽出し、航空燃料を製造する実験が行われました。このような取り組みは、バイオ燃料の新たな供給源を探る中で、特に重要な意味を持ちます。2018年12月には、IHIと昭和シェル石油が藻類由来のバイオジェット燃料供給体制の構築に向けた検討を開始し、規格への適合や生産体制の確立に向けた課題を協議しました。

なお、2020年6月には、IHIとNEDOが、ボツリオコッカスから生産した航空機向けバイオ燃料が、国際的な標準規格である「ASTM D7566 Annex7」を取得したことを発表しました。これにより、ボツリオコッカス由来のバイオ燃料が商業利用に向けて一歩前進しました。

特徴と利点

ボツリオコッカス・ブラウニーが注目される理由は、その特性にもあります。まず、生活排水などの水の中でも生息しやすいという点が挙げられます。また、トウモロコシやアブラナ、アブラヤシなど他の農作物と異なり、食用にされることがないため、食料問題に影響を与えづらいという特長も持っています。実際、ボツリオコッカスが生成する油は、1ヘクタールあたり年間118トンと見積もられており、トウモロコシの0.2トン、アブラナの1.2トン、アブラヤシの6トンと比較しても遥かに多いのです。

また、この藻類は陸地を必要とせず、森林破壊などの環境問題に対する影響も少なく、持続可能なエネルギー源として非常に期待されています。

その他の関連項目

ボツリオコッカス・ブラウニーは、バイオ燃料やバイオジェット燃料、その他さまざまなバイオマス関連の研究と密接に関連しています。これにより、再生可能エネルギーの分野でも重要な役割を果たす可能性があります。さらに、ボツリオコッカスに関する研究は、環境問題への対策や新たなエネルギー源の開発に貢献するでしょう。

このように、ボツリオコッカス・ブラウニーはその特性と生産能力から、持続可能なエネルギー調達の未来を担う重要な存在として注目されています。

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