ボツワナと北朝鮮の関係

ボツワナと北朝鮮の関係は、過去には友好的な時期もありましたが、現在は断絶しています。この記事では、両国間の歴史、協力関係、そして関係が悪化し断絶に至った経緯を詳しく解説します。

歴史的背景

1974年11月27日、ボツワナと北朝鮮は外交関係を樹立しました。冷戦時代、ボツワナの初代大統領セレツェ・カーマは1976年8月に北朝鮮を国賓訪問し、金日成主席と会談しました。この訪問では、カーマ大統領夫妻が金主席夫妻の歓待を受け、ビリヤードで意外な腕前を披露したというエピソードも残っています。

1980年代前半には、北朝鮮から格闘技インストラクターが派遣され、ボツワナ警察に徒手格闘の訓練を施しました。しかし、インストラクターの指導が警察官を上層部に対して反抗的にさせ、より民主的な警察組織を求める動きにつながったため、短期間でボツワナを離れることになりました。

また、北朝鮮の国営企業が、ハボローネ市内の記念像「三首長の像」を建設しました。この像は2005年に完成しましたが、現在に至るまで議論の的となっています。ボツワナは医療体制の不足を補うため、北朝鮮の医療従事者の雇用も試みたことがありました。

関係悪化と断絶

2013年、ボツワナ政府は北朝鮮の人権侵害状況を深刻に憂慮し、二国間協力関係を停止しました。その後も関係は悪化し、2014年2月20日には国連調査委員会の報告書を受け、北朝鮮との外交関係を完全に断絶しました。ボツワナ政府は北朝鮮政府を強く非難するとともに、北朝鮮国民への同情を表明しました。

2014年10月には、国際連合のボツワナ常駐代表が北朝鮮代表団から人種差別的な言葉を浴びせられるという事件も発生しました。北朝鮮代表は、ボツワナ代表を「あのクロンボ父なし子」と中傷しました。

2015年10月、韓国を訪問したボツワナのイアン・カーマ大統領は、北朝鮮との断絶理由として、人権蹂躙と近隣諸国への威嚇を挙げ、北朝鮮指導部を「石器時代に暮らしているようだ」と厳しく批判しました。

現在の状況

現在、ボツワナと北朝鮮の間には外交関係はなく、両国間の交流はほとんどありません。過去には協力関係もあったものの、北朝鮮の人権問題が深刻化するにつれて関係は悪化し、最終的に断絶に至りました。ボツワナは、人権を重視する姿勢を明確にし、北朝鮮の人権状況に対する懸念を表明し続けています。

両国間の関係は、今後の国際情勢や北朝鮮の動向によって変化する可能性もありますが、現状では関係修復の見込みは低いと言えるでしょう。

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