ボナパルティズム

ボナパルティズムとは

ボナパルティズム（フランス語: Bonapartisme）は、フランス第一帝政の崩壊後、ナポレオン・ボナパルトとその家族を再びフランスの支配者とすることを目指す政治運動を指します。この運動は、ボナパルト家を支持する人々によって推進され、彼らは「ボナパルティスト」と呼ばれています。さらに広義には、革命を強権で抑圧しようとする権威主義的な運動全般を指すこともあります。

狭義のボナパルティズム

ボナパルティズムの思想は、フランス革命によって掲げられた理念をナポレオンの統治スタイルに適応しようとする表れです。ナポレオン自身は、共和政ローマのカエサルを模範としており、フランスに秩序と栄光を提供しようと務めました。彼は革命の先駆者たちに敬意を払いながらも、その支配は独裁的であり、直接的かつ個人的な権力行使を特徴としていました。王党派の脅威が増す中、ナポレオンは国民からの支持を受けて皇帝に即位しました。

ボナパルティズムは、第一帝政後の思想において、革命前の封建制度への復帰を否定しつつ、過去の恐怖政治を再現することも拒絶しました。そのため、選ばれた皇帝による強力な秩序を支持し、エリートを集めた中央集権的な政府の創設を掲げました。この動きは、革命の成果である自由や平等の理念を背景にしつつ、フランスの栄光を追求するものでした。

ボナパルティストの活動

ボナパルティズムの支持者は、ナポレオン1世の失脚後から彼の百日天下、さらにはセントヘレナ島への流罪に至るまで活動を続けました。ナポレオン戦争の終息後、彼らは復古王政下で王党派からの迫害を受けましたが、それでもナポレオンの復位を望む動きがありました。その後、ボナパルティズムの運動は、ナポレオン1世の嫡子、ナポレオン2世の擁立を試みましたが、1832年に彼が亡くなったため、ナポレオンの弟、ルイ・ボナパルトの子であるルイ＝ナポレオン・ボナパルト（後のナポレオン3世）を支持する方向へと変わりました。これにより、ルイ＝ナポレオンは1840年にクーデターを試みましたが、失敗に終わりました。

再びの運動の中で、ルイ＝ナポレオンは第二共和政で大統領に就任し、最終的には1852年に第二帝政が成立しました。この新体制の崩壊後、ボナパルティストたちはナポレオン3世の皇太子、ナポレオン・ウジェーヌ・ルイ・ボナパルトに希望を託しましたが、他の保守派勢力との対立も見られました。

ボナパルティズムは、1879年のナポレオン・ウジェーヌ・ルイの死以後、有力な政治運動とはなりませんでしたが、20世紀に入っても影響を残しました。

広義のボナパルティズム

ボナパルティズムは、その意味を広げて権威主義的な運動全般を表すこともあります。この概念は、カール・マルクスによって提唱され、特にナポレオン3世の治世と第二帝政が、旧支配層と新興勢力の均衡から生まれる一時的な権力体制とされました。その結果、権力批判の道具として用いられることもあります。

今日では、ボナパルティズムは特に近代フランス史における特定の現象として分析される傾向が強まっていますが、依然として権力構造を批判する際に参考とされることがあります。

もう一度検索