ボビー・ジェンクス

ロバート・スコット・ジェンクス：剛腕投手から指導者へ

ロバート・スコット・ジェンクス（Robert Scott Jenks, 1981年3月14日 - ）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州出身の元プロ野球選手。右投右打の投手として、主にMLBのシカゴ・ホワイトソックスでクローザーとして活躍しました。

プロ入りと下積み時代

2000年のMLBドラフトで、アナハイム・エンゼルスから5巡目指名を受けプロ入り。しかし、2004年に肘の手術を受けるなど、苦しい時期を過ごします。同年12月にはDFAとなり、ウェイバー公示を経てシカゴ・ホワイトソックスへ移籍。この移籍が、彼のキャリアを大きく変えることになります。

ホワイトソックスでの飛躍

2005年7月5日にメジャーデビューを果たすと、その剛速球で注目を集め、32試合に登板。奪三振率11.44という驚異的な数字を記録しました。さらに、ポストシーズンでは、ワールドシリーズ第4戦という重要な場面でセーブを挙げ、チームを88年ぶりのワールドチャンピオンに導くという、鮮烈な印象を残しました。

2006年からはクローザーとして完全に定着。オールスターにも選出されるなど、名実ともにリーグを代表するリリーバーとなりました。同年には球団史上3位となる41セーブを記録。メジャー2年目までに40セーブ以上を記録したのは、佐々木主浩とチャド・コルデロの2人しかおらず、その実力が際立っていました。
2007年も40セーブを挙げ、球団史上初の2年連続40セーブ以上を達成。7月には41者連続アウトというMLB記録に並びました。

レッドソックス時代と苦難

2010年オフにFAとなり、2010年12月21日にボストン・レッドソックスと2年契約を結びますが、度重なる故障に悩まされ、本来の力を発揮できませんでした。2012年には自由契約となり、過去の手術や腰痛による鎮痛剤の乱用から依存症、うつ病を発症するなど、苦しい時期を過ごしました。

しかし、2013年に脊椎の手術を受け、依存症を克服。苦難を乗り越え、新たな人生を歩み始めます。

指導者としての活躍

現役引退後は、シカゴ・ホワイトソックスのマイナー巡回投手インストラクターとして指導者の道を歩み始めます。2021年からは独立リーグのグランドジャンクション・ロッキーズの投手コーチ、2022年からは監督に就任。監督初年度にはチームをリーグチャンピオンシップに導き、リーグ年間最優秀監督賞を受賞しました。その後も、大学野球サマーリーグの投手コーチなどを務め、2024年からは独立リーグのウィンディシティ・サンダーボルツの監督に就任しています。

プレースタイルと人物像

ジェンクスの最大の武器は、最速166km/hを誇るフォーシーム。それにカーブ、カッター、チェンジアップなどを織り交ぜ、打者を圧倒するパワーピッチャーでした。しかし、その一方で、素行の悪さからマイナー時代には「100万ドルの腕と10セントの頭を持つ男」と呼ばれたこともありました。エンゼルスのマイナー時代には、チームバスで飲酒しようとしたこともあったようです。

剛腕投手として一時代を築き、苦難を乗り越え指導者として新たな道を切り開いているジェンクス。今後の活躍にも注目が集まります。

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