ボビー・マーシャン

ボビー・マーシャン (Bobby Marchan)

ボビー・マーシャン（本名オスカー・ジェイムズ・ギブソン）は、1930年4月30日にオハイオ州ヤングスタウンに生まれたアメリカのR&B歌手です。彼は音楽キャリアの初期において、ヒューイ・「ピアノ」・スミスとそのバンドであるザ・クラウンズの主要メンバーとして知られるようになりました。マーシャンは、1950年代の音楽シーンで重要な役割を果たし、多くのヒット曲に参加したことで、一世を風靡しました。

来歴とキャリア

マーシャンが女装を始めたのは10代の頃で、彼はそのスタイルを活かして「パウダー・ボックス・リヴュー」というドラァグクイーンのグループを結成しました。1950年代中頃からは、ニューオーリンズのナイトクラブでパフォーマンスを行い始め、特にデュー・ドロップ・インやクラブ・ティアフアナでの活動が目立っていました。彼のキャリアの最初の成果として、1954年にはコズィモ・マタッサのプロデュースによる初のレコーディング「Have Mercy」をアラディンレコードに残しています。

その後、マーシャンはドットやエイスなどのレコード会社でレコーディングを行いましたが、特にエイスでの活動中、経営者のジョニー・ヴィンセントが彼を女性と誤解し、ボビー・フィールズという名義で「Give A Helping Hand」をリリースしたことが印象的です。1957年以降、マーシャンはザ・クラウンズとともにツアーを行い、彼の歌声が多くのヒット曲に彩りを添えました。特に、「Rocking Pneumonia And The Boogie Woogie Flu」や「Don't You Just Know It」、「Sea Cruise」など、人々の心に残る名曲を記録しました。

マーシャンは1959年にザ・クラウンズを離れ、ソロアーティストとして新たな道を歩むことになります。ボビー・ロビンソンが経営するファイヤー・レコードに参加し、1960年にはビッグ・ジェイ・マクニーリーのカバー「There's Something On Your Mind」でR&Bチャートの1位を獲得。曲の中での語りのスタイルで注目を浴びました。しかし、その後のレコーディングは思うようにはいかず、1963年にはスタックス・レコードに移籍することになりました。ここではオーティス・レディングの推薦も受け、ヴォルトというレーベルに所属して、カバー曲を手掛けるなど活動を続けました。

さらに、ダイヤル・レコードに移った後は、1965年に自作曲「Get Down With It」をレコーディングしました。この曲は後にリトル・リチャードやスレイドによってカバーされ、スレイドのバージョンは大ヒットを記録し、彼の作品の影響の大きさを示しています。

マーシャンはその後もカメオ-パークウェイ・レコードにて「There's Something About You, Baby」や「Shake Your Tambourine」などのリリースを行い、R&Bチャートに名を残すヒットを達成しましたが、1970年代初頭には新たなヒットが出ず、再び女装パフォーマンスとMC業に戻ることになりました。彼はその後ニューオーリンズ・ジャズ＆ヘリテッジ・フェスティバルの常連に出演し、歌手としての実力を見せ続けました。

マーシャンは1987年には再度スタジオ録音を行い、アル・ベルのエッジ・レコードから彼の代表作「There's Something On Your Mind」の再演をリリースしました。その後、1980年代には自身のプロダクション会社である「マニキュア・プロダクションズ」を設立し、ヒップホップアーティストのブッキングやプロモーションにも従事しました。1990年代にはキャッシュ・マネー・レコードの立ち上げに関与し、音楽業界への影響を広めました。

彼の音楽人生は多彩であり、様々なレコードレーベルとの関係を通じて、彼はアメリカの音楽シーンに大きな足跡を残しました。マーシャンは1999年12月5日に肝癌のためルイジアナ州グレトナで生涯を閉じ、69歳の生涯でした。彼の音楽と個性は、今日においても多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索