ボヘミアン (曲)

ボヘミアン

作詞：飛鳥涼、作曲：井上大輔による楽曲「ボヘミアン」は、複数のアーティストによって歌われ、特に葛城ユキによるカバーバージョンが広く知られるヒット曲となりました。

楽曲誕生の背景

この楽曲が生まれるきっかけは、作曲者である井上大輔の妻が、チャゲ&飛鳥（現在のCHAGE and ASKA）のコンサートを鑑賞したことに端を発します。この縁から、チャゲ&飛鳥の飛鳥涼（現在のASKA）と井上大輔の間で、共に楽曲を制作する話が具体化し、「ボヘミアン」が誕生しました。

原曲と最初のリリース

最初にこの楽曲を発表したのは、歌手の大友裕子です。1982年9月21日にシングルとしてリリースされましたが、大友裕子自身はこのシングルの発売日をもって結婚し、音楽活動から引退することとなりました。

大友裕子盤のシングルには、表題曲「ボヘミアン」のほか、B面に「マルセル橋」が収録されています。

収録曲（大友裕子盤）
A面: ボヘミアン (作詞: 飛鳥涼 / 作曲・編曲: 井上大輔 / 演奏時間: 2分50秒)
B面: マルセル橋 (作詞: 飛鳥涼 / 作曲: 井上大輔 / 編曲: 平野孝幸 / 演奏時間: 4分38秒)

葛城ユキによるカバーと大ヒット

「ボヘミアン」が大きな注目を集めるきっかけとなったのは、ロックシンガー・葛城ユキによるカバーバージョンです。葛城ユキは1983年4月21日発売の自身のアルバム『RUNNER』にこの楽曲を収録し、さらに同年5月21日にシングルカットとして改めてリリースしました。

このシングルは、1983年6月に放送が開始された毎日放送制作・TBS系列のテレビドラマ「シリーズ水曜の女 赤い足音」の主題歌として起用されました。このタイアップ効果もあり、「ボヘミアン」はオリコンチャートで週間最高位3位を記録する大ヒットとなり、最終的に41万枚を超える売り上げを記録しました。

作曲者の井上大輔は、葛城ユキのカバーバージョンについて、「（葛城）ユキをイメージして書いた曲だ」と述べており、彼女の歌唱によって楽曲の持つ魅力が最大限に引き出されたことを示唆しています。

葛城ユキ盤のシングルには、A面に「ボヘミアン」、B面に「グレイの朝に」が収録されています。

収録曲（葛城ユキ盤）
A面: ボヘミアン (作詞: 飛鳥涼 / 作曲・編曲: 井上大輔 / 演奏時間: 3分33秒) - シリーズ水曜の女「赤い足音」主題歌
B面: グレイの朝に (作詞: 東海林良 / 作曲: 井上大輔 / 編曲: 鈴木宏昌 / 演奏時間: 6分45秒 / 歌唱: 葛城ユキ & 井上大輔)

大友裕子盤と葛城ユキ盤では、作詞・作曲者が共通していますが、編曲者（A面のみ）や演奏時間、B面曲が異なっている点が特徴です。

その他のカバーバージョン

「ボヘミアン」はその後も多くのアーティストによってカバーされています。主なカバーを以下に挙げます。

CHAGE and ASKA: 1985年発売のアルバム『Standing Ovation』にセルフカバーとして収録。
Mi: 2006年発売のカバーアルバム『80's×Mi』に収録。
アンドリューW.K.: 2008年発売のカバーアルバム『一発勝負〜カヴァーズ』に英語歌詞で収録。
清春: 2008年発売のシングル「五月雨（Type A）」に収録。
水雲-MIZMO-: 2008年発売のカバーアルバム『歌謡抄〜雲の巻〜』に収録。
葛城ユキ: 2008年に「2008 Remake Version」として自身でリメイクしてリリース。
西寺実: 2009年発売のカバーアルバム『ふぞろいのロックたち 其之壱』に収録。
お笑いコンビ、阿佐ヶ谷姉妹の渡辺江里子が、この楽曲を自身のレパートリーとして歌唱しています。

この楽曲は、オリジナル版の発表から時間を経てカバーが大きな成功を収め、その後も様々なジャンルのアーティストによって歌い継がれるなど、日本のポピュラーミュージック史において特筆すべき一曲と言えるでしょう。

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