ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道

ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道（B&O）の歴史

ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道（Baltimore and Ohio Railroad, B&O）は、アメリカ合衆国で最も古い鉄道の一つです。1826年に最初の路線が開通し、メリーランド州ボルチモアの港から西へ、オハイオ川沿いのウェスト[[バージニア州]]ホイーリングを目指しました。

設立までの道のり

1826年、フィリップ・トーマスとジョージ・ブラウンは、イギリスの鉄道事業を調査しました。当時、アメリカ東海岸の主要都市では、エリー運河などを利用して内陸部との交易を拡大していました。しかし、ボルチモアには運河に適した地形がなかったため、鉄道によるオハイオ川へのアクセスが計画されました。

1827年2月、ボルチモアの有力者が集まり、鉄道敷設を決定。「B&Oに関するメリーランド州法」が可決され、B&Oは会社組織化されました。トーマスが初代社長、ブラウンが会計役となり、500万ドルの資本金が集められました。

初期の建設と延伸

1828年 7月4日、最初の礎石が据えられました。1830年 5月には、ボルチモアからエリコットまでの最初の区間が開通。当初は馬車鉄道でしたが、8月にはアメリカ初の蒸気機関車「トム・サム」が使用されました。

その後、B&Oは下記のように延伸を続けました。

1831年：エリコット〜フレデリック
1832年：フレデリックジャンクション〜ポイント・オブ・ロックス
1834年：ポイント・オブ・ロックス〜サンディ・フック
1842年：サンディ・フック〜マーティンズバーク、マーティンズバーク〜ハンコック、ハンコック〜カンバーランド
1851年：カンバーランド〜ピードモント
1852年：ピードモント〜フェアモント
1853年：フェアモント〜ホイーリング

1835年には、ボルチモアからワシントンD.C.への支線が開通し、首都に乗り入れた最初の鉄道となりました。この路線は、後にメインラインをしのぐ重要路線となります。

南北戦争と合併

1861年、南北戦争が勃発。鉄道は兵站輸送で重要な役割を果たし、B&Oも襲撃の標的となりました。

1871年、オハイオ川に橋が完成し、B&Oとセントラル・オハイオ鉄道が接続。これをきっかけに、B&Oは西へ、北へと路線を拡大していきました。

1867年から1932年にかけて、多くの鉄道会社を合併。これにより、B&Oの路線網は大きく広がりました。

主な合併先:

1867年：ウインチェスター・アンド・ポトマック鉄道など
1871年：ピッツバーグ・アンド・コーネルズビル鉄道
1882年：マリエッタ・アンド・シンシナティ鉄道
1902年：ピッツバーグ・アンド・ウェスタン鉄道
1909年：クリーブランド・ターミナル・アンド・バレー鉄道
1927年：シンシナティ・インディアナポリス・アンド・ウェスタン鉄道
1932年：バッファロー・ロチェスター・アンド・ピッツバーグ鉄道

1877年には、従業員によるストライキが発生し、暴動に発展しました。

ペンシルバニア鉄道との競争

1880年代、ペンシルバニア鉄道（PRR）との間で激しい競争が始まりました。PRRはB&Oの路線を奪取しようと画策し、PW&Bを買収してフィラデルフィアへのルートを遮断。さらに、B&Oのボルチモア〜ワシントンD.C.間の路線に並行する路線を建設しました。

B&Oも対抗して新路線を建設しましたが、その結果、資金が枯渇し、倒産へとつながりました。

19世紀後期の路線建設

1874年にはアレクサンドリア支線が建設され、ワシントンD.C.の南側へ路線が延伸。また、バージニア・ミッドランド鉄道を再編成し、西へ向かう路線の計画も進められました。

20世紀のB&O

破産後、B&OはPRRの管理下に入り、レオノア・ローリーが社長に就任。インフラの共用や、機関車の新造などが行われました。

1963年、チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道（C&O）がB&Oの経営を取得。1973年にはチェシー・システムとなり、1980年にはシーボード・システム鉄道と合併し、CSXトランスポーテーションとなりました。B&Oは1986年にC&Oと合併し、その歴史を終えました。

初期の土木技術

1820年代の鉄道技術は未熟で、B&Oは多くの建造物を花崗岩で造りました。道床も石で作られましたが、すぐに不向きであることが判明。しかし、多くの橋は現在も使用されています。カロルトン橋は世界最古の鉄道橋であり、トーマス橋も建設当初アメリカ最長の橋として知られています。

また、1830年代には、蒸気機関車でパース・リッジを登れるか確信が持てず、インクラインが設置されましたが、後に代替ルートが建設され、廃止されました。

まとめ

ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道は、アメリカの鉄道史において重要な役割を果たした鉄道会社です。その革新的な技術と路線拡大は、アメリカの発展に大きく貢献しました。現在では、CSXトランスポーテーションの一部として、その遺産は受け継がれています。

脚注

[1] 近藤喜代太郎『アメリカの鉄道史 SLがつくった国』成山堂書店、2007年。

外部リンク

B&O Railroad Historical Society
B&O Railroad Photo Tours in and around Maryland
B&O Railroad page on the Baltimore Collective
Baltimore & Ohio Railroad Museum
John W. Garrett Collection, 1850-1880 Archives Center, National Museum of American History, Smithsonian Institution.
The Baltimore and Ohio Railroad Network - ウェイバックマシン

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