ドル

ドルとは

ドルは、さまざまな国で使用される通貨単位であり、その一般的な記号は「$」です。特に、アメリカ合衆国の通貨である米ドル（USドル）が最も広く知られています。その他の国のドルを明確に示したい場合は、オーストラリア・ドルや香港ドルのように、地域名を添えて表記します。

ドルの歴史

「ドル」という名称は、ドイツでかつて使用されていた通貨であるターラー（Thaler）に由来しています。このターラーは、16世紀にボヘミアのザンクト・ヨアヒムスタールという銀鉱山で鋳造されたヨアヒムスターラーという大判銀貨がその起源です。ターラーは、当時高い品位を持ち、フローリン金貨に代わって広く流通しました。ターラーの高品質なイメージが、「良貨」を意味する言葉として一般名詞化し、ヨーロッパ各国で通貨名として定着しました。その後、アメリカでは自国通貨を「Dollar」と呼ぶようになりました。

日本においては、ドルはエド時代末期にオランダを通じて導入され、「ドルラル」と発音されていましたが、明治時代に入ると「ドル」と短縮されました。

ドル記号の起源

ドルの記号「$」には諸説あります。その中でも有力な説は、かつてメキシコとその宗主国であるスペインの通貨であるペソ（メキシコドル）から派生したという点です。ペソを表す「P」の上に「S」を重ねて書いた結果、「$」になったと言われています。この変遷は、当時の帳簿記録に見られるとされ、経済史研究者によって提唱されています。他にも、縦線が2本書かれる理由として、スペインドルの紋章に登場するヘラクレスの柱に由来するとする説や、ペソが8レアル換算されたため「8R」が基になったという説もあります。

ドルの種類

現行通貨

現在、ドルを名乗る通貨は多種多様です。例えば、トンガの通貨は「パアンガ」と呼ばれ、トンガ・ドルとも称されます。さらにマレーシアの通貨リンギットもマレーシア・ドルと呼ばれることがあります。また、ハイチの通貨であるグールドは、5グールドで「ハイチ・ドル」という名称でも知られています。国際的に認識されているわけではありませんが、シーランド公国のシーランド・ドル（米ドルと等価）やハット・リバー王国のハット・リバー・ドルなども存在しています。

廃止された通貨

ドルを名乗る通貨には、現在使用されていないものも多く存在します。例としては、1861年から1863年に発行されたアメリカ連合国ドルや、1946年から1949年まで使用されていたオールド台湾・ドル、1935年から1965年までのイギリス領西インド諸島・ドルなどが挙げられます。

このように、ドルは単なる通貨の名称にとどまらず、その歴史や地域によって多様な意味を持つことが分かります。多くの国や地域で使用されるドルが持つ文化的背景を理解することで、私たちの経済活動や国際取引がより深く理解できるでしょう。

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