ボルボ・グループ

ボルボ・グループ：世界を駆ける商用車巨人の歴史と現在

ボルボ・グループ（ABボルボ）は、スウェーデン・ヨーテボリに本社を置く、グローバルに展開する多国籍企業です。トラック、バス、建設機械、船舶用エンジンなど、幅広い商用車分野で事業を展開しており、世界的な規模を誇ります。その歴史は1928年にトラック製造から始まり、現在では、ボルボ・トラックス、ルノー・トラックス、マック・トラックスなど、世界有数の商用車メーカーを傘下に収めるまでに成長を遂げています。

グローバル戦略と買収

ボルボ・グループは、1999年に乗用車部門をフォード・モーターに売却した後、商用車分野に特化した世界戦略を展開してきました。積極的に他国の商用車メーカーを買収することで、事業規模を拡大し、市場における競争力を高めてきました。その結果、2016年時点では世界第2位のトラックメーカーとしての地位を確立しています。

日本における事業展開：UDトラックスとの深い関わり

日本においては、ボルボ・グループはかつてエヌエー株式会社（後のボルボグループジャパン）を設立し、日産ディーゼル工業（現UDトラックス）を買収、完全子会社化しました。その後、合併や組織再編を経て、現在ではUDトラックスが日本のボルボ・グループの中核を担っています。しかし、2020年10月、いすゞ自動車がUDトラックスを買収したことで、UDトラックスはボルボ・グループから離脱し、いすゞグループの一員となりました。現在、日本においてボルボを冠するABボルボ傘下の企業は存在せず、日本のABボルボの事業はUDトラックスが引き継いでいます。

多様な事業ポートフォリオ

ボルボ・グループの事業はトラック事業に留まりません。建設機械部門（ボルボ建設機械）、船舶・産業用エンジン部門（ボルボ・ペンタ）、バス部門（ボルボ・バス）、そして金融サービス部門（ボルボ・フィナンシャル・サービス）など、多岐にわたる事業を展開しています。これらの事業は、世界各地に広がるネットワークを通して、グローバルな顧客に製品・サービスを提供しています。

産学連携とイノベーション

ボルボ・グループは、イノベーションを重視し、積極的に研究開発に取り組んでいます。スウェーデンのチャルマース工科大学との共同研究に加え、上智大学などとの産学連携にも取り組んでおり、技術開発と人材育成に力を入れています。これは、持続的な成長と競争力の維持に繋がる重要な取り組みと言えます。

浙江吉利控股集団との関係

2010年に中国の浙江吉利控股集団がボルボ・カーズを買収した後、2018年にはボルボ・グループ（ABボルボ）の筆頭株主となりました。このことは、中国市場におけるボルボ・グループの戦略的な重要性を示唆しています。一方、ボルボ・カーズとボルボ・グループの間には資本関係はありませんが、ブランド共有や技術協業など、連携関係は維持されています。

未来への展望

ボルボ・グループは、持続可能な社会への貢献を重視し、環境規制への対応、燃費向上、そして安全技術の進化に注力しています。自動運転技術やコネクテッドカー技術などの先端技術開発にも積極的に取り組んでおり、将来に向けた競争力の強化に努めています。グローバルな市場環境の変化に対応しながら、さらなる成長と発展を目指していくことでしょう。

主要な沿革

1928年：トラック製造開始
1999年：乗用車事業をフォードに売却
2001年：ルノー・ビークル・インダストリー買収
2006年：日産ディーゼル工業（UDトラックス）と業務提携開始、後に完全子会社化
2012年：ルノーによるボルボ株売却
2014年：上智大学との産学連携開始
2018年：浙江吉利控股集団がボルボ・グループの筆頭株主となる
2019年：いすゞ自動車との戦略的提携発表、UDトラックス売却

主要ブランド

ボルボ・グループは、ボルボ、ルノー・トラックス、マック・トラックスなどの主要ブランドに加え、ジョイントベンチャーを通じて、SDLG、アイシャー、ドンフェントラックスなどのブランドも展開しています。これらの多様なブランドを通して、世界中の顧客のニーズに対応しています。

もう一度検索