ボルボ・240

ボルボ・240シリーズの概要

ボルボ・240シリーズは、スウェーデンの自動車メーカーであるボルボが1974年から1993年にかけて生産した人気の乗用車です。このモデルは、累計で2,862,053台の生産を誇り、その設計のルーツは1966年に登場した140シリーズにまで遡ります。240シリーズは、ボルボ車の中でも特に長い期間にわたって生産され続け、その信頼性と安全性から多くのユーザーに愛されています。

240シリーズのデザインと技術

240は、デザイナーのヤン・ヴィルスガールドによってスタイリングされ、140シリーズのデザインを引き継いでいます。特にキャビンより後方のデザインは共通しており、安全性を重視した工夫が随所に施されています。1972年に発表されたボルボ・VESC（Volvo Experimental Safety Car）で導入された様々な安全技術が実用化され、前後の衝撃吸収ゾーンを拡大するために前輪サスペンションはストラット式に変更されました。これにより、エンジンベイも広くなり、より高い安全性を実現しています。

240シリーズは、上級モデルにおいては4気筒エンジンとして初めてパワーステアリングが導入され、操縦性の向上にも寄与しました。また、全長が4,700mmを超えることで、日本では3ナンバー登録車に該当します。モデルの一つには、「ラーソン」という愛称が付けられ、これは創業者の一人であるグスタフ・ラーソンに由来しています。

歴史の変遷

ボルボ・240シリーズには242、244、245といったバリエーションが登場しました。1974年の秋には、2ドアセダンの「242」、4ドアセダン「244」、5ドアワゴン「245」の3つのモデルがラインアップに加わりました。1976年モデルでは、B21Aエンジンの出力が引き上げられ、244にオーバードライブ5速MTが選択可能となりました。

1978年にはスポーティな「242GT」が追加され、1979年にはヘッドライトのデザインが変更されるなど、魅力的な改良が続きました。さらに、1981年にはターボチャージャーを搭載した「244ターボ」がデビューし、運動性能が向上しました。1983年には全モデルの番号が「240」に統一され、1985年には740シリーズの出現によって240シリーズのグレードが整理されました。1990年代に入ると、安全対策としてエアバッグやABSも装備され始めました。

日本市場における展開

240シリーズは、日本市場にも輸入されました。1974年以降、ヤナセからの輸入が終了し、帝人ボルボがその後を引き継ぎました。ボルボ・ジャパンが設立され、エステートモデルは特に好評を得ました。1991年からは「ボルボ・カーズ・ジャパン」が輸入販売を行い、吸引力のある車の一つとなりました。ただし、最後のモデルはセダンが主流であり、日本での販売は1991年の後半からスタートしました。

モータースポーツの績

240ターボは、欧州ツーリングカーレース選手権（ETC）にも出場し、「Flying Brick（空飛ぶレンガ）」と呼ばれる姿で知られています。1985年と1986年には連続でチャンピオンとなり、日本で行われたインターTECでも勝利を収め、優れたパフォーマンスを見せつけました。このようなモータースポーツでの成功は、240シリーズの名声をさらに高める要因となりました。

このように、ボルボ・240シリーズは、安全性と信頼性を重視しながら時代とともに進化を続け、多くの人々に支持されてきた歴史あるモデルなのです。

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