ボレスワフ1世 (マゾフシェ公)

ボレスワフ1世 (マゾフシェ公)

ボレスワフ1世（ポーランド語：Bolesław I Mazowiecki, 1208年 - 1248年）は、中世ポーランドの公であり、その生涯は政治的駆け引きと戦乱に彩られています。サンドミェシュ公、マゾフシェ北部の公、そしてマゾフシェ全域の公という地位を歴任しました。父はマゾフシェ公コンラト1世、母はノヴホロド＝シーヴェルスキー公スヴャトスラフの娘アガフィアです。

生涯

ボレスワフは若くして父の政治戦略に利用され、1227年に伯父レシェク1世が亡くなると、父と共にマウォポルスカへ赴き、クラクフの有力者たちと交渉し、父をクラクフ公（ポーランド大公）の地位に就けようとしました。しかし、クラクフ公の座は従伯父のヴィエルコポルスカ公ヴワディスワフ3世の手に渡ります。それでも、父からドブジン・ナド・ヴィスウォンの要塞とその周辺地域を与えられました。

1229年、父は都市ラドムを含むサンドミェシュ公国の一部を獲得し、ボレスワフに譲渡しますが、ドブジン・ナド・ヴィスウォンとの交換条件が付きました。ドブジンは弟シェモヴィト1世の領地となります。1231年、ボレスワフは父や兄弟と共に、ヘウムノ地方にドイツ騎士団を招きます。同年、ヴワディスワフ3世の死後、クラクフ公位を巡る争いが起こると、ボレスワフは父を支援しましたが、翌1232年、ヴロツワフ公ヘンリク1世がクラクフ公位を獲得し、プロイセン人を動員してマゾフシェに侵攻、コンラト1世はクラクフ公位を諦めざるを得なくなりました。さらに、ヘンリク1世はボレスワフの領地を奪い、サンドミェシュ公国全域を支配下に置きました。

サンドミェシュの領地を失った代償として、コンラト1世はボレスワフにシェラツを中心とするマゾフシェ公国の一部を与えました。ただし、公国の外交・軍事に関する決定権は父が握ったままでした。1234年、ボレスワフはシェラツを父に返還する代わりに、マゾフシェ北部を与えられました。シェラツはマウォポルスカに隣接し、父がクラクフ公位を狙う上で戦略的に重要な地域でした。その後、ボレスワフはプルーセン人やルーシ諸公と戦い、ドロヒチンにドブジン騎士団を呼び寄せました。1238年には、ハールィチ・ヴォルィーニ大公ダヌィーロとリトアニア大公ミンダウガスに対する戦争にも参加しています。

1241年、義父でありクラクフ公であったヘンリク2世がレグニツァの戦いでモンゴル軍に討たれると、ボレスワフは父が占領したクラクフ公国に駐屯する役割を担いました。しかし、1243年にはクラクフから追放され、コンラト1世はポーランド君主の座を失いました。

1247年に父が亡くなると、ボレスワフがその後を継ぎ、マゾフシェ公国の大部分を相続しました。しかし、この遺産分割に不満を持った次弟のカジミェシュ1世が、兄ボレスワフ1世に攻撃を仕掛けました。

ボレスワフ1世は公国を相続して間もない1248年の春に亡くなりました。1234年にヘンリク2世の娘ゲルトルダと結婚しましたが、彼女は1244年に亡くなり、子供はいませんでした。1246年にはルーシのベルズ公アレクサンドルの娘アナスタシヤと再婚しましたが、彼女との間にも子供は生まれませんでした。遺言で、遺領の全てを弟シェモヴィト1世に譲りましたが、この遺言はカジミェシュ1世の存在を無視したものであり、兄弟間の争いの火種となりました。

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