ボロ (アメリカ合衆国)

アメリカ合衆国における「ボロ」とは？各州での多様な用法を徹底解説

「ボロ」（Borough）とは、アメリカ合衆国において、州の下位に位置する行政単位の一つです。しかし、その具体的な形態や役割は、州によって大きく異なります。本稿では、6つの州で使用されている「ボロ」について、その多様な用法を詳しく解説します。

各州における「ボロ」の用法

1. アラスカ州：郡相当の区分

アラスカ州では、「ボロ」は「郡」（County）の代替として用いられています。州の下位区分として、郡と同様の役割を果たし、各ボロには郡庁所在地（Borough Seat）が置かれています。ただし、アラスカ州の広大な面積の大部分は非自治郡であり、郡相当の政府が存在しない地域も多く存在します。

2. コネチカット州：地方自治体の一種

コネチカット州では、「ボロ」は都市と同様に、独立した自治体の一種として扱われます。通常、町の中で人口が集中している地域がボロとして法人化されます。ボロは町の一部であり、町に依存する形で存在します。州内には9つのボロがあり、ノーガタックのように町と同一の領域を持つ統合されたボロも存在します。

3. ミネソタ州：かつて存在した自治体

ミネソタ州では、かつてベルプレインという自治体が「ボロ」という名称を使用していましたが、1974年に市に変更されました。現在、ミネソタ州には「ボロ」という行政単位は存在しません。

4. ニュージャージー州：独立した自治体

ニュージャージー州では、「ボロ」は独立した自治体であり、5種類に分類される自治政府の一つです。タウンシップ、町、市、村と同等のレベルで運営されています。1890年代には、領域の大きなタウンシップから多くのボロが形成されました。

5. ニューヨーク州：都市の小区分（区）

ニューヨーク市は、ブルックリン区、マンハッタン、クイーンズ区、ブロンクス区、スタテンアイランドの5つの「ボロ」（区）に分けられています。これらのボロはそれぞれキングス郡、ニューヨーク郡、クイーンズ郡、ブロンクス郡、リッチモンド郡と一致しています。ボロには区長や市議会議員で構成されるボロ政府が存在しますが、その権限はニューヨーク市政府に比べて限定的です。

6. ペンシルベニア州：地方自治体の一種

ペンシルベニア州では、「ボロ」は他の州における「町」と同様の使われ方をします。自治を行う政体であり、概して市よりも規模が小さいのが特徴です。ボロまたは市によって統治されていない地域は、タウンシップとして統治されます。2005年8月時点で、ペンシルベニア州には961のボロが存在しました。

7. バージニア州：都市の地理的な小区分

バージニア州では、統合市がボロと呼ばれる地理的な小区分に分けられることがあります。これらのボロは、現存の市や郡、あるいはその一部と同じである可能性がありますが、別の地方政府は持ちません。バージニアビーチ市では、かつて7つのボロが存在しましたが、1998年に廃止されました。

まとめ

アメリカ合衆国における「ボロ」は、州によってその意味合いや機能が大きく異なる行政単位です。地方自治体として機能する州もあれば、都市の小区分として扱われる州もあります。本稿で解説した各州の事例を通して、「ボロ」という言葉の多様性を理解していただければ幸いです。

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