ボーカロイド歌謡祭

『ボーカロイド歌謡祭』は、フジテレビ系列で不定期に放送されたボーカロイド専門の音楽番組です。この番組は、フジテレビとドワンゴ（およびニワンゴ）が提携し、インターネットと地上波放送の連携を強化する目的で制作されました。フジテレビは番組開始以前から、ニコニコチャンネル内に公式チャンネルを開設しており、インターネット連携企画を推進していました。

番組の大きな特徴は、動画投稿サイト「ニコニコ動画」（現niconico）を中心に発展したボーカロイド文化を、テレビという媒体を通して広く一般に紹介することにありました。これにより、普段からボーカロイドに親しんでいるファンだけでなく、これまであまり触れる機会のなかった視聴者にもボーカロイドの魅力が伝わるように工夫されました。制作側は、このような配信媒体を超えた放送企画の実現に注力し、デジタルコンテンツと実写映像の関係性を発展させるきっかけとなることを期待していました。

2013年4月6日に放送された第1弾『ボーカロイド歌謡祭2013（春）〜初音ミクから生まれた新たな音楽の世界〜』では、ボーカロイド文化全般が取り上げられました。特に注目されたのは、ドワンゴが開発したバーチャルライブ技術です。これにより、初音ミク、GUMI、神威がくぽといった人気ボーカロイドキャラクターと実写の人物が共演するライブ映像が制作されました。これらのキャラクターは、いずれもテレビ番組初出演となりました。特に「がくっぽいど」は、GACKTの声をもとに作られたボーカロイドキャラクターで、この番組でGACKT本人との初共演が実現しました。番組の司会は、ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーと、フジテレビのCGキャラクターである杏梨ルネが務めました。

第1弾の放送後、視聴者からの反響が大きく、4月末に開催された「ニコニコ超会議」でのコラボレーション企画を経て、第2弾の制作が決定しました。7月27日に放送された第2弾『ボーカロイド歌謡祭2013（夏）〜Voca CX Night〜』では、ボーカロイド楽曲の制作を担う「ボカロP」にスポットが当てられました。DJ'TEKINA//SOMETHING、かめりあ、きくお、八王子Pなど、人気ボカロPが出演しました。また、ボカロPがDJを務めるイベント「Voca Nico Night」を短縮した形で放送しました。第1弾とは異なる切り口でボーカロイドを取り上げることで、フジテレビ自身の制作能力の向上にも繋げたいという制作者側の意図がありました。第2弾も、司会は引き続き吉田尚記アナウンサーが務めました。

当初、2013年の秋や冬にも放送が予定されていましたが、諸事情により第2弾の放送を最後に、番組は現在放送されていません。

番組には、様々なアーティストやクリエイターが関わっています。

出演者

司会：
吉田尚記（ニッポン放送アナウンサー）
杏梨ルネ（フジテレビアナウンサー）
出演アーティスト（第1弾）：
初音ミク
IA
GUMI
神威がくぽ
GACKT
出演アーティスト（第2弾）：
初音ミク
DJ'TEKINA//SOMETHING
かめりあ
きくお
八王子P

番組スタッフ

編成企画：下川猛（フジテレビ）
構成：武洋行、水井心太
ナレーション：やまだひさし、石本沙織（フジテレビアナウンサー）
SW（スイッチャー）：本多晋
TP（テクニカルプロデューサー）：泰明弘
カメラ：大畑正人、木塚慶、若林茂人
VE：今関亜衣
VTR：稲見勝
照明：西村久幸
音響：佐々ふみ
ARライブ：岩城進之介、廣瀬淳一、進藤哲郎、林正知、渡辺幸範、和田重久
LED制作：八島伸行
タイトルロゴ：福澤伸太郎
編集：井上三郎、中村豪
MA：阿部祥高
音響効果：矢部公英（ふなや）
協力：クリプトン・フューチャー・メディア、SEGA、YAMAHA、nicofarre、JOYSOUND、dwango、niconico
メイク：國沢雅子
TK（タイムキーパー）：本田悦子
AD（アシスタントディレクター）：角皆光治
制作進行：浅井良輔
ディレクター：黒田源治、吉田陵
プロデューサー：中垣佐知子
演出：岡本光弘
制作著作：フジテレビ

番組の放送を通じて、ボーカロイド文化はさらに多くの人に認知され、デジタルコンテンツと実写映像の可能性を広げる一助となりました。

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