ボードゥアン2世 (ラテン皇帝)

ボードゥアン2世・ド・クルトネーは、13世紀のラテン帝国最後の皇帝であり、ナミュール侯でもありました。彼は1217年に生まれ、初代皇帝ボードゥアン1世の妹ヨランドと皇帝ピエール2世・ド・クルトネーの間に生まれました。父方の祖父はフランス王ルイ6世の末子であるピエール1世です。

1228年、兄でラテン皇帝であったロベールの死後、ボードゥアン2世は幼くして皇帝位を継承しました。当初は義父であるジャン・ド・ブリエンヌが摂政として実権を握りました。当時のラテン帝国は、東ローマ帝国の亡命政権であるニカイア帝国やブルガリアからの侵攻にさらされ、衰退の一途を辿っていました。この状況を打開するため、ボードゥアン2世は西欧諸国に援助を求めましたが、十分な支援を得ることはできませんでした。1242年にはモンゴル軍の侵攻を受けて敗北し、その威信はさらに低下しました。

1261年、ニカイア帝国の共同皇帝ミカエル8世パレオロゴスによる攻撃を受け、首都コンスタンティノポリスは陥落しました。これにより、ラテン帝国は完全に滅亡し、ボードゥアン2世はイタリアへ亡命を余儀なくされました。その結果、東ローマ帝国が復活することになりました。亡命後、ボードゥアン2世はシチリア王シャルル1世・ダンジューのもとに身を寄せ、1273年に死去しました。死の直前、彼はシャルル1世にラテン帝国の帝位継承権を譲渡しています。

ボードゥアン2世は1229年にジャン・ド・ブリエンヌの娘マリーと結婚し、一子フィリップをもうけました。

フィリップ（1243年 - 1283年）：名目上のラテン皇帝（1273年 - 1283年）。1273年にシャルル1世・ダンジューの娘ベアトリスと結婚し、一女カトリーヌをもうけました。カトリーヌはヴァロワ伯シャルルと結婚しました。

ボードゥアン2世の治世は、ラテン帝国の衰退と滅亡という悲劇的な結末を迎えましたが、その後のヨーロッパ史に大きな影響を与えました。彼の時代は、ラテン帝国という十字軍国家の歴史における終焉を示すものであり、東ローマ帝国の復活という歴史的な転換点でもありました。

参考文献
下津清太郎 編『世界帝王系図集 増補版』近藤出版社、1982年。
* Louda, Jiří; Maclagan, Michael (1981). Lines of Succession. Little, Brown & Company

もう一度検索