ミカエル8世パレオロゴス

ミカエル8世パレオロゴスについて

ミカエル8世パレオロゴス（1225年 - 1282年12月11日）は、東ローマ帝国最後の王朝であるパレオロゴス王朝の初代皇帝として知られています。彼は1261年から1282年までの在位中に、東ローマ帝国を再興した重要な人物であり、後に「最も狡猾なギリシア人」と称されることもある策略家です。

彼の出自は非常に貴族的で、父はコムネノス王朝とアンゲロス王朝の有力者の一人であり、母はアレクシオス3世アンゲロスの孫娘でした。ミカエル8世の家系は、1204年の第4回十字軍によるコンスタンティノポリス征服の前から高貴でしたが、彼自身も幼少期からその才能を発揮していました。

若くしてニカイア帝国の皇帝に仕官し、傭兵の司令官としての地位を確立。特にテオドロス2世の死後、その政権の中核を担い、重臣を暗殺することで権力を掌握しました。このようにして彼は、8歳の皇帝ヨハネス4世の共同後見人となり、後に自身が「専制公」と名乗り、共に皇帝としての地位を築くことになります。

1260年にはペラゴニアの戦いでラテン帝国とその同盟軍を打破し、翌1261年にはラテン帝国からコンスタンティノポリスを奪還しました。この際、彼は息子アンドロニコスを共同統治者に据え、その名を冠して新たな皇帝としての称号を持つようになりました。しかし、政治的な陰謀の一環として、王位に対抗する存在であるヨハネス4世の目を潰すという非情な手段を選択し、帝国の安定を図りました。

ミカエル8世の治世は、ラテン帝国時代の制度や習慣を廃止し、失われた伝統を復興させることから始まります。彼は特に帝国の版図の拡大を目指しましたが、周囲の威嚇に対しても慎重に行動しました。1263年、ローマ教皇ウルバヌス4世と連携し、周辺諸国との和解を図る一方、1264年にはエピロス専制侯との和平を成立させます。

彼の外交政策は巧妙であり、時には同盟関係を築くために自らの娘を他国の指導者に嫁がせるなどの戦略を採ります。特に、アバカ・ハーンとの同盟締結やジョチ・ウルスに対する支援は、帝国の存続に大きな貢献をしましたが、同時に教皇庁との関係が悪化し、最終的には破門を宣告される事態に発展します。

1282年には、アバカ・ハーンの急死により政局が動揺する中、ミカエル8世自身も急死を迎えます。この頃、彼の息子アンドロニコス2世は父の政策を引き継ぎ、さらなる帝国の成長を試みました。ミカエル8世によって開かれたパレオロゴス王朝は、1453年のオスマン帝国の台頭まで約200年間もの長きにわたり持続し、東ローマ帝国の歴史に燦然と輝く存在となりました。

家族

ミカエル8世は、1253年に貴族テオドラ・ドゥーカイナ・ヴァタツァイナと結婚し、数人の子女を儲けました。特に、息子の中でもアンドロニコス2世は後の皇帝となり、彼の政権とその影響を受けることになります。また、彼には数人の庶子もいましたが、娘エウフロシュネーはノガイ・ハーンに嫁ぎ、王朝の外交的なつながりを強める要因となりました。

ミカエル8世パレオロゴスは、その複雑な政治と文化の舞台で大きな足跡を残した帝王であり、彼の政策と行動は後の歴史にも深い影響を与え続けています。

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