ボールズ8

ボールズ8 (Balls 8): NASAのNB-52B試験支援機

ボールズ8は、アメリカ航空宇宙局（NASA）がかつて運用していたNB-52B試験支援機です。約50年もの間、NASAの様々な航空研究プロジェクトを支援し、2004年に惜しまれつつ退役しました。特に、X-15実験機の母機としての役割がよく知られており、X-15計画における106回目から199回目までのフライトで使用されました。

機体の生い立ちと改造

ボールズ8は、元々ボーイング社によってアメリカ空軍向けのRB-52B偵察機として製造され、1955年6月11日に初飛行を終えました。その後、1959年6月8日にNASAに移管され、X-15実験機を搭載するための特別な改修が施されました。改修は、ノースアメリカン社の施設（パームデール）で行われ、以前のNB-52A試験支援機と同様に、右翼と機体の間にX-15を固定するためのパイロンが設けられました。また、X-15の尾翼を収めるために、右翼後縁フラップに1.8m x 2.4mほどの切り欠きが設けられています。

X-15計画と様々なプロジェクトへの貢献

1959年6月から1968年10月にかけて、ボールズ8はX-15計画における吊り下げ試験（captive-carry）および射出のために、合計159回のフライトを実施しました。1960年1月23日に行われたX-15計画における5回目のフライト（最初の射出）でもボールズ8が使用されています。その後、X-24実験機、HiMAT無人実験機、リフティングボディ実験、X-43無人試験機、初期のペガサス・ロケット実験など、数多くのプロジェクトに参加し、航空宇宙研究の発展に大きく貢献しました。

退役と現在

2004年12月17日に退役が発表された際、ボールズ8は当時運用されていたB-52の中で最も古い機体であり、Hモデルではない唯一の機体でした。しかし、総飛行時間は運用中のB-52の中で最も短いという特徴も持っていました。現在、ボールズ8はエドワーズ空軍基地の北ゲート近くに永久展示されており、その功績を静かに伝えています。

愛称の由来

「ボールズ8」という愛称は、機体番号52-0008に由来します。アメリカ空軍では、複数のゼロが先行する機体番号を持つ機体を、ゼロをボールに見立てて「ボールズ」と呼ぶ慣例があります。ボールズ8も、その慣例に従って名付けられました。

関連項目

* NASAの航空機の一覧

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